ワニのストイチコフ

ワニのストイチコフ

 ワニのストイチコフは
いつも怒っている
ストイチコフに 友だちはいない
彼の世界には エサと敵がいるだけだ
なぜって
ストイチコフの眼には
自分より小さいもののすべてがエサに見えて
自分より大きいものは敵に見えるからだ
 ワニのストイチコフがサッカーをやる時
誰も彼のパスを受けようとしない
というのも 彼はサイコパスで
彼のパスは
つねにゴールネットにのみ向けられているからだ

 ワニのストイチコフは 笑わない
 笑っているように見えるのは
 ストイチコフが エサの大きさを口で測っている時だ

ゴールネットが揺れる時
ストイチコフは 少しだけ しあわせな気持ちになる
水を飲みに来たゾウの子供の鼻を
食いちぎったときみたいに

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