2月7日 日曜日 晴れ
 徹夜明け。
 昼中眠った。
 変な時間に眠るせいなのか、夢ばかり見る。
 どんな夢かって?
 うーん。
 実は覚えてないんだ。
 ただ、後味だけが残っていて、それがひどくイヤな感じなのだね。
 きっと、ひどい夢だと思う。
 昼中寝ていて、その間中悪夢を見ている……っていう感じの、そういう夢なんだと思う。

 ちなみに
 起きてる時は見ない。
 ベッド以外の場所で夢を見るのは、ばか、だ。

 新聞記者に
「夢は何ですか?」
 と聞かれたら
「ありません」
 と答えよう。

「では、現状に満足されているんですね?」
 とあいつは言うだろうか?
 予想通りの答えが返ってこなかった時にいつもそうするように、あいつは、取材相手を枠にはめようとするだろうか?

「ばか」
 と心の中で言おう。
 そして
「わかりません」
 と言っておこう。
 
 オレが夢を見ないのは
 目覚めているからだ。


2月8日 月曜日 晴れ
 フセイン国王が死んだようだ。
 なんだかいつも調停ばかりしていたような記憶が残っている。
 おそらく、王様の夢は調停だったのだろう。
 王様らしい、立派な夢だ。

「あなたの夢は?」
 と筑紫テツヤに聞かれたら
「言えません」
 と答えよう。
 仮に誰かに夢があったとして、
 簡単に人に話せるような夢は
 本当の夢ではないからだ。
「ほほう」
 と、筑紫は言うだろうか?
 理解できない回答にぶつかった時にいつもそうするように、笑みをうかべて余裕を見せようとするだろうか?
「ほほう」
 と、オウム返しに言ってやろう。

 仮にオレに夢があるとしても、筑紫には語らないだろう。
「ほほう」
 なんて言われたらかなわないからな。


2月9日 火曜日 晴れ
 鳩山邦夫が都知事選に出馬の意向。
 ほほう。
 出豚と言うべきだと思う。

 夕刻、某夕刊紙より電話取材。
 久米ヒロシをけなしてほしそうだったが、ほめておいた。
 

2月10日 水曜日 晴れ
 毎日毎日翻訳。
 英語は脳みその変な筋肉を使うので疲れる。

"Wow!"
 と、クリントンは言うだろうか?
"Do you have muscles in your brain?"
 ったく。
 なにが"Wow!"だよ、バカが。
「お前のは海綿体か?」
 と答えておこう。

「おお!ちがいます。ワタシの場合、ペニスにブレインがあるんですよ」(←英語で書けよ)
 と、あいつは言うだろうか?
 その程度のアメリカンジョークが、大統領の肩書き抜きで通用すると、あくまでもあいつは思い込んでいるのだろうか?

 亀脳。

 政策立案亀脳
 ばか。


2月11日 木曜日 雪のち雨
 雪。
 少しもうれしくないのは、大人になったからなのだろう。
 20歳ぐらいまでは、雪が降るとなんとなくうれしかったものだが。

 もっと年を取ると、太陽が嫌いになったりするんだろうか?
 雨が降ると
「ざまあみやがれ」
 と笑う72歳のオレは、一体誰を呪っているのだろう?
 じいさん。
 人を呪うのは良くないぞ。
「何にだ?」
 健康にさ。
「健康に悪いのが何に悪いんだ?」
 …………
「健康は何に良いんだ」
 …………
 じいさん、どうして答えのない質問をするんだ?
 答えられるのがイヤなのか?
 会話が続くのがうっとおしいのか?
 人の話の腰を折ることだけを考えてその年になったのか?
 なあ、じいさん。
 肩の力を抜けよ。
 いいかげんに世の中と和解したらどうだ?
「まだまだ和解ものには負けん」
 …………
 そうか、そこまでひねくれてしまったのか。
 で、どうだ?そんなに偏屈に生きていて楽しいか?ともだちはどうした?家族はいないのか?
「イギーなら死んだ」

 夜、某女性週刊誌より電話取材。
 オレは久米ヒロシ評論家と見なされているんだろうか?
 まあ、仕方ないか。
 筑紫テツヤや木村太郎なんかよりは好きなんだけどな。
 だからって、好きなわけじゃないけど。

2月12日 金曜日 晴れ
 朝まで翻訳。
 とてもよく働いている。
 毎日毎日英語漬けで、半分外人になった気がする。
 昼から夕刻まで熟睡。
 残りの半分はふくろう。


2月13日 土曜日 晴れ
 今朝も朝まで翻訳。
 偉い。
 この10日ほど、毎日規則正しく働いている。
 とても偉い。
 このモチベーションは何処から来ているのか?

 いや
 そもそも、モチベーションという考え方が間違っているのだ。
 人を動かしているのは、モチベーションではない。
 惰性だ。
 あるいはもう少し手加減した言い方をするなら、習慣が人を社会的な存在たらしめているってことなのだ。

 サラリーマンの連中だって、毎朝やる気が湧いてきて、それで出勤しているわけではあるまい。
 彼らをオフィスに向かわせているのは、モチベーションではない。
 「昨日も出勤したから」という理由で出勤しているに過ぎない。 
 とすれば、われら自由業者とて習慣さえ獲得すれば同じことができるはずだ。

 とはいえ、なにかをはじめることは、なにかをやめることと同じく、簡単なことではない。
 
 酒をやめて3年。
 やめたのは良いとして、何もできない。
 習慣性の呪縛は、何かをやめた人間を抜け殻にしてしまう。

「はじめればいいじゃないですか」
 何を?
「たとえばゴルフとか」
「ジョギングはどうですか」
「外に出ないとダメですよ」
 ……
 うーーん。
 仕事をしよう。
 どっちみち不愉快なら、金がかかるより、金が儲かる方がいい。