11月1日 日曜日 晴れ
 午後、テレビのチャンネルをザッピングしているとNHK教育で野球をやっている。
「お、東西対抗か?」
 と思ってよく見ると早慶戦である。
 ったく。
 皆様のNHKが、まだこんなもんの中継をやってるのか。
 聞けばリーグの優勝は既に法政に決まっていて、早慶戦は、4位対2位の、順位に影響のない最終戦なんだそうだ。
 それでも、早慶戦(別に「慶早戦」と呼んでもいいんですよ)は、リーグの帰趨とは無関係に放映せねばならない特別なゲームだということなのか?
 こんなチンケなエリート意識のぶつかり合いに国民的関心が集まっているとでも思っているのか?
 それとも、放送現場に多いといわれる早慶出身者の感傷(それも特権意識たっぷりの)ですか?

 まったく。
 
 まあ、それでも観客席が満員でなかったのは喜ばしいことだ。
 それだけ、現代の学生さんはマトモになってきていると、そういうふうに考えることにしよう。
 私が学生だった頃は、外野席までぎっしり満員(←バカで)だった。
 普段は野球になんかまるで興味のない連中が、単にライバル校に対する対抗意識だけで熱狂していた。
 その対抗意識のいやみったらしさといったら……
「法政なんかに勝っても負けても関係ねえよ。肝心なのは慶應戦なんだから」
 と、当時、ワセダの学生は二言目には申したものです。
 まったく。
 ワセダとケイオーの学生さんたちは、法政や明治を、同じ土俵の人間とは思っていなかったのですね。
「あいつらは、違うステージの、偏差値的にも人間的にも一段低いグレードに属する連中だからさ」ってことで、別にどっちでも良かったわけなんですね。今はどうか知りませんけど。

 球場には、チケットをネタに女子大生さんを連れ出したかっただけの野球音痴やら、野球そっちのけで試合後の乱痴気騒ぎに備えて酒を飲んでいるバンカラ気取りやらがいっぱいおりました。
 どうして彼らが早慶戦後の乱チキ騒ぎを楽しみにしてたのか、理由をご存知ですか?
 そうです、早慶戦の夜は、解放区だったからです。
 ワセダに占領された歌舞伎町では、あらゆる無法が黙認されたのです。
 というのも万を数える学生の狼藉が、警察力を無化してしまう夜こそが、早慶戦の夜であったからです。
 女も来ました。
「ワセダの人にナンパされたいわ」
 とか思ってる(思ってるんだよな、ホントに)アーパーなねえちゃんたちが、大量に歌舞伎町に繰り出しておりました。
 そんなわけですから、試合には行かなくても、夕方から歌舞伎町に出かける手合いがたくさんいたわけです。
 もちろん、OBも大量に集まって参りました。
 そして、非ワセダの学生を取り囲んで殴ったり(本当ですよ)、善良な少数派サラリーマン客をいびり出したり、ミラノ座の前で、集団立ち小便をしたり……

 イヤな学校ですねえ。
 エリート意識だけならまだしも、衆をたのんだおのれの無頼を「バンカラ」と称して誇ったりしてたわけですから。
 しかも、東大に対しては「あんなガリ勉」と、にわかに非エリート側に立って反発したりするんですから救いようがありません。

 ああいやだ。

 ……って、オレ、ワセダがらみの話については、一生涯寛大な気持ちになれそうもないな。
「昨日は慶應の奴を5人殴った」
 とか、早慶戦前夜の徹夜飲酒行列の模様を誇るみたいな最低のバカを何人も知ってるからなあ。

 ああいやだ。

 もっとも、当時確認したところでは、慶應さんたちが集合する当夜の銀座もほぼ同じ状況だったようです。
 三田の遊び人連中の馬鹿騒ぎも、バンカラのワセダに負けず劣らず、野卑で傍若無人で無責任で、もちろんワセダと同じく、半可エリートらしい計算高さ(つまり、おまわりにつかまらないことがわかりきってる限りにおいてどこまでも犯罪的になるってこと)の横溢したそれはそれはいやらしいものであった、と、ケイオーの皆さんも、そうおっしゃっておられます。
 ま、当然でしょう。
 他人の結婚式で校歌歌っちゃう(←どういう神経なんだ?)校風なわけですから、両校とも。
 
 最近はどうなんでしょう。
 早慶両校の腐れ学生は、相変わらず自己肥大の阿呆なのでしょうか。 
 中卒・高卒の方々や駅弁大学出身のみなさんも大勢来ておられる人様の結婚披露宴の宴の席で
「えーとぉー、ワセダ出身者は集まってくださーい」
 とか言って、恥ずかしげもなく肩組んでアカペラで都の西北を放歌高吟しちゃってるんでしょうか、今でも。
 で、ケイオーさんもケイオーさんで。
「えーとぉー、ただいまにっくきワセダのみなさんが高らかに校歌を歌われましたので、当方といたしましても対抗上……」
 とかなんとかいいながら、意味なく校歌やら陸の王者やらを歌いに集まってきたりしてるんでしょうか?
 
 いやなこと思い出しちゃったなあ。
 毛虫で歯磨いたみたいな気分だ。
 まったく。


11月2日 月曜日 晴れ
 1日の日記にリンクを埋め込んでみた。
 あくまでもテストとはいえ、アンカーの設置、リンクの張り込み、リンク用フォルダおよびリンク先ファイルの作成……となかなか大仰な騒ぎになってしまった。

 7月以降の日記を振り返ってみるに、どうやら仕事が詰まってくるとHP関連の作業に没頭する傾向があるようだ。
 学生だった頃、期末テストが迫ると読書やクラブ活動に励んでいたのと同じことなんだろう。
「何かやらねば」
 という脅迫はあるものの、勉強そのものや仕事そのものはやりたくない――で、読書やHP更新に励む、と、まあ、わかりやすい成り行きだな。

 スペースシャトル「ディスカバリー」の話題が連日報道されている。
 で、思うのだが、"Discovery"という名前には、やはり「新大陸の発見」"Discovery of a new continent"のイメージが重ね合わされているのであろうか?
 最近、教科書などでは「発見」は「到着」(だって先住民がいたわけだからね)というふうに言い替えられることになっているようだが、アメリカでは相変わらず「ディスカバリー」なんだろうか?
 それとも「アメリカ大陸の発見」という言い方が公式にはアウトになってるからこそ、郷愁として「ディスカバリー」という船が必要になってるってことか?

 おそらく、真相はこうだ。
 WASPさんたちは、表向きネイティブアメリカンに気を使って「発見」という言葉を引っ込めてはいるものの、心の底では「発見」(文明人による未開地の発見――つまりインディアンは「文明人」じゃないってこと。もっと言うなら「あの野蛮人どもに文明の光とキリスト教の恩恵をもたらしたのはオレたちなんだぜ」ということ)だと思っているのだよ。
 結局、彼らにとって「ディスカバリー・発見」や「フロンティア・辺境」は、決して「侵略」のイメージを喚起する言葉ではなく、あくまでも「進歩」と「拡大」と「冒険」の輝かしい記憶に結びついているってことだ。
 でもって、アメリカさんたちは、今後とも、どこまでもアメリカを拡大するつもりでいるわけなんですね。

 傍証を挙げるなら、最初のスペースシャトルの名前は「コロンビア」(Columbia)であった。
 なるほど。
 で、以降、「チャレンジャー」「ディスカバリー」「エンデバー」という並びでスペースシャトルが発射され続けてるわけ。
 なるほどね。
 こうやって並べてみるとモロに大航海時代の侵略者たちを賛美してる感じがしますね。
 さらに言うなら、アメリカの宇宙ステーションへのESA(欧州宇宙機関)の参画構想の名前はズバリ「コロンブス計画」(Columbus Project)です。
 ったく。
 ぜーんぜん反省してないんだよ。あの連中は。

 そんなわけで、いまでは残り少なくなっている無傷のアメリカンヒーローたる77歳のグレン爺さんの一挙手一投足にアメリカ中が熱狂している。
 まあ、わからないでもない。
 アメリカの皆さんにとって、グレンさんは、我々にとっての寅さん(ちょっと違うか?)やナガシマさんみたいな「何をやってもめでたい」大切な存在なんだろう。
 ま、縁起モノみたいなもんだ。
 
 が、それはそれとして、どうしてそんなアメリカンローカルのクッサい物語に、オレたちがつきあわなけりゃならないんだ?
 どうして毎日毎日日本のニュース番組は、グレングレンと、あの爺さんのあれこれを伝えるんだ?
 アメリカ標準のニュースバリューをそのまんま採用することがすなわち連中の国際感覚なのか?
 なあ。
 教えてくれよ、安藤さん。
 どうしてフリューゲルスよりグレンなんだ?
 あんたらは、こんなベタな駄洒落は言いたくないけど、愚連隊なのか?
 あんたにとって、消滅しつつあるサッカーチームは蒙古斑みたいなものなのか?

 えっ?
 機嫌が悪いって?
 当然だろ。
 だって、シャトルを飛ばしてる財源の一部は、ほかならぬオレの貧困なんだぜ。


11月3日 火曜日 晴れ
●休日の昼ニュース
 テレ朝の昼ニュース番組で「CMで振り返る女性の美」だとかいう特集をやっている。
 ……と思ったら実態は「資生堂CMの輝かしくも素晴らしい歴史にみんなで感心しましょうね」みたいな露骨なヨイショ企画で、解説を垂れてる長髪の文化人風オヤジも、正体はといえば、何のことはない資生堂宣伝部の偉いさんでした。
 スポンサーがらみってことか?

 ちょっと前にも、テレ朝の夕方のニュースで
「洋服の青山、スーツの販売数世界一でギネスブックに」
 てなニュースをやっていて、「あれ?」っと思ったらやっぱり青山さんが番組のスポンサーだった。
 ちなみにいえば、この番組では最後に
「なお、青山ではギネス認定を記念して特別セールを……」
 てなことを付け加えて(ニュース枠ですぜ)ました。
 はは。
 大体、「ギネス認定」自体がインチキだってことを誰も知らないんだろうか?
 ギネスブックなんて、単なる私企業(ビール会社)が出してるパンフだぜ。
 だから、そこで言ってる「世界一」というのだっておよそ恣意的なものなわけだ。
 いや、恣意的どころか、「認定料」を取るんですよ、このギネス協会って詐欺まがいの組織は。

 で、チャンネルを切り替えてみるとTBSはTBSで、
「4年に1度開催されるバレーボール界最大の大会、バレーボール世界選手権が今日から……」
 という話をニュースの項目として堂々と放送しているわけだけど、これって、TBSが独占放映権を握って半年も前から何かにつけて大宣伝してるイベントだろ?
 としたら、自社CM以外の何者でもないんじゃないか?

 ったく。
 テレビって、ここまで露骨なものだったかなあ?
 昔は、けっこう真剣にテレビ見てた気がするけど、オレがバカだっただけなのか?

 ま、だからって
「秋の叙勲4420名」
 だとかがマトモなニュースってわけじゃないけどな。
●Jリーグ第15節
 鹿島アントラーズ 1 | 1−0 | 0 ジュビロ磐田
 後半から(寝過ごした)BS1で観戦。
 ビデオで確認した限りでは、鹿島の1点はキーパーのミス。
 まあ、ああいうワンバウンドは取りにくいんだろうけど。

 レッズ戦はTVKが放映していたが、画質が悪すぎて見えない。
 ニュースステーションによれば、後半40分過ぎから2-0をひっくり返されて2-3で負けたとのこと。
 城が2得点+1アシスト?
 信じられない。

 寝よう。
 明日の朝起きてみれば、状況が変わっているかもしれない。

 ジョーよ
 エースのジョーよ
 昨日のジョーは
 死んだのか?
 お前は
 長い間
 お嬢だったはずだ
 
 ジョーよ
 シュートレスジョーよ
 お前のシュートは
 いつでも
 明後日に向かって飛んでいたはずだ
 マリノスの明日が危ぶまれている今
 お前に何が憑依したんだ

 ジョーよ
 明後日のジョーよ
 今日のジョーには
 あんまり情がないとは思わないか?
 ジョーよ
 まぎらわしい真似はやめてくれ
 ジョニーエースは
 死んだはずじゃないか
 


11月4日 水曜日 曇り
 フジテレビのワイドショーは朝からフリューゲルス問題を取り上げている。
 レギュラーコメンテーターのおやじ(どうも経済の方の人間みたいだ)は
「サポーターも存続存続と叫ぶだけでなく、自分たちでお金を出すとか市民株主とかそういう考え方をしないと……」
 みたいなことを言っている。
「一般の企業だって業績が悪くなれば合併なんてことは当然ある話なんですから」
 だとさ。
 ……
 なるほどね。
 この人たちはサッカーチームを営利企業としてしか認識してないんだな。
 ま、一般人がそう思うのは仕方ないのかもしれない。
 でも、建前論を述べさせてもらうなら、サッカーチームというのは採算とか利益とかいったものだけで運営されるべきものではない。
 利益があがらないならあがらないで、チームを縮小するとか、アマチュアに戻るとか色々と方策を考えて、なんとか存続させる方向で考えなければいけない。
 その上で、万策尽きて吸収合併なり消滅なりという結論を選ぶ場合でも、その前に最低限の手続きとしてチームのスタッフ、選手、サポーターといった人々に対してきちんとした説明の場を設けてしかるべきだ。

 が、全日空および佐藤工業は、総会屋対策と同じ手法で、すべてを決定した後に闇討ちの形で吸収合併を発表し、しかも経営の詳細も開示していない。
 結局、彼らの感覚では子会社を一個ツブすのと同じことなんだろう。
 あるいは新事業に手を出してうまくいかないから手を引く、と、そういう感覚なわけだ。

 バカだなあ。
 彼らは、サッカーチームが持っている社会的影響力を理解していないのだろうか。
 うまくころがった場合でも、失敗した場合でも、サッカーチームのもたらす内外への影響は、単なる経営上の収益や財務諸表だとかで評価しきれるようなものではない。
 サッカーチームの運営でヘマをやらかした場合、企業イメージに致命的な傷を残すってことぐらいのことがわからないのか?
 佐藤工業は、評判を気にするどころの騒ぎじゃない(だって自分が消滅しそうなわけなんだから)んだろうけど、全日空はおそらくこの度の件で結果的に大きな損失をこうむることになるだろう。
 ま、自業自得だ。
 思うに、全日空は、はじめからチームの親会社なんかにならず、スポンサーにおさまっておれば良かったのだ。
 スポンサーなら「良い時だけカネを出して、具合が悪くなったら撤退」でもかまわない。
 胸のマークに広告費を出しているスポンサー企業が撤退したからといって、選手やスタッフはがっかりするかもしれないが、裏切られた感情までは抱かないだろうし、ファンだって署名とまでは言い出さない。
 現在、フリューゲルスのサポーターが騒いでいるのは、サッカーに手を出しておきながら、簡単に自分の都合で撤退する姿勢に不信感を抱いているからだ。
 当然である。

 このまま日産と全日空が結託して横浜F・マリノスが出来上がるのだとしたら、形としては全日空と日産が子会社を整理して赤字の穴埋め(ANAだってさ)をしたというだけの話になる。

 もちろん、日産だって苦しい。
 そんなことはわかっている。
 本社ビルの一部を売却し、座間工場を閉鎖しているのだから、苦しくないはずがない。  おまけに、フリューゲルス合併が発表されたその日には、富士銀行を中心とする銀行10社から5000億円の融資を受けることになった(←おい、これは偶然なのか?そもそもFとMの合併は、融資の条件か、アリバイ作りだったんじゃないのか?)旨が報道されている
 わかった。  苦しいのはわかった。  が、苦しいからといって簡単に合併して良いのなら、そもそもサッカーなんていうスポーツは成り立たない。
 一般企業なら、合併によって財政基盤を強化し、市場での影響力が増すということもあるだろう。
 銀行Aと銀行Bが合併すれば、店舗数、預金残高、資本金は、単純な足し算で増加するだろう。
 が、2つのサッカーチームが合併しても、ファンの数が倍になるわけではないし、勝利数が倍になるわけでもない。
 リーグのチーム数が減るわけだから、1チーム当たりの優勝確率は高まるだろうが、そんなこと以前に、リーグそのものの魅力が減じてしまうし、優勝の価値が低下する。

 バカだなあ。
欠損を ANA埋めすれど 座間は無し
 ってことだな、結局。
  翼捨て あな見苦しき 野合かな


  11月5日 木曜日 晴れ
 昨日の3時過ぎからWindows98のインストールに取り組んで、夜の9時ごろにようやく完了。
 めでたしめでたし。

 が、今日の昼過ぎになって昨日の午後以来、電話が受信できなくなっていたことが判明した。
 どうやらターミナルアダプタの設定が間違っていたようだ。
 以前からウィンドウズが死ぬたびに同じ問題が起こる。
 結局、ターミナルアダプタを導入すると、電話回線がパソコンの支配下にはいってしまうわけで、ってことは、通信、ファックスから一般の通話まで、オレのところの情報の送受信は一から十まで丸ごとWindowsのコントロール下に置かれているってことだ。
 ううむ。
 ビル・ゲイツおそるべし。

 設定変更すべくTAのマニュアルを見ると、どうやらアナログポートの設定にミスがあったことらしい。
 が、「グローバル着信」のところがどう読んでも理解できない。ちょっと長いけど引用してみよう。

グローバル着信
INSネット64の着信には、2つの種類があります。
通常の場合とダイヤルインサービスを利用した場合は、NTTから着信番号(呼び出す番号)が通知され、接続機は、その着信番号と設定した自己アドレスをチェックし、あらかじめ設定してあるポートを呼び出します。
これに対して「グローバル着信」とは、NTTに申し込むことにより契約者回線番号への着信の場合には、着信番号を通知しないサービスです。2つの着信方法での呼び出すポートをAtermに設定しておくことにより、呼び分けが行えることになります。

 うげえ
 まるでわからん。
 内容もさることながら、それ以前に、文法的にまるで解析できない。

 結局、一つの電話番号で複数のアナログポートを使い分ける場合にはグローバル着信を設定しておかないといけない、ということだったようで、その設定をすると、無事受信ができるようになった。
 ばかみたいだ。


11月6日 金曜日 曇り

 「メリルリンチスーパードームシリーズ」をちらっと観た。
 ん?
 おわかりにならない?
 日米野球ですよ。
 黒船金融機関の代表格、メリルリンチ証券が冠スポンサーになってるのでこんな名前になってるわけです。
 
 第一戦は例によって読売巨人軍。
 で、先発が入来です。
 失礼だねえ。
 だって、今回の大リーグ選抜は、アメリカン、ナショナル両リーグ合わせて28球団から選抜されたバリバリのスター選手揃いのドリームチームですよ。
 本国のアメリカでだって、こんなチームを編成するのは不可能なんだよ。
 そのアメリカの宝に対して、初手からローテーション6番手のスポットスターターをぶつけてくるとは……
 何ぞ遇するの無礼!と、思わず漢文脈が出てしまうほどの非礼なのであるよ、これは。
 で、中継ぎがドラフト8位ルーキーの平松クン――横手投げ左腕の変則投手で、ストレートの初速は若さに似合わぬ133キロ。であるからして、勝負ダマは当然のことながらストライクゾーンの外側。
 ……
 こうなると、失礼を通り越してひとつの文化的陵辱である。

 前回、対大リーグ選抜がやってきたのは確か5年ほど前だったが、その時も、わが巨人軍は谷口というバリバリの2軍ルーキーをぶつけたものだった。
 当時、私はどこかの雑誌で、この暴挙について「ベルリンフィルと上高田少年合唱団を競演させるようなものだ」といった趣旨の文章を書いたと思うのだが、今回も同じだった。
 またしても、わがプロ野球界は、メジャーリーガーの立つバッターボックスに向かって、しょんべんカーブを投げてみせたのである。

 たとえば、市川歌右衛門がアメリカ公演を打ったとして、その時の前座が保育園児のお遊戯だったら、やはり我々とて気を悪くすると思うのだが、ほぼ同じことを、ヨミウリはやってのけたのである。
 結局、ヨミウリが興行を打ってるってだけのことで、球団は本気じゃないんだな。
 2軍に毛が生えた程度の若手に登板機会を与えられればそれでオッケーってわけだ。
 で、うまいぐあいにオフで調子を崩しているメジャーの選手を2人か3人抑えれば来季の自信につながるだろう、と、その程度のアタマしかないんだな。

 まったく。
 試合は4-0でメジャーの勝ち。
 当然だ。
 格上に対して、全力を尽くさないんだから、本当なら28対ゼロぐらい負けなければいけないところだ。

 あるいはヨミウリの首脳陣は「本気でぶつかって行ってボロ負けしたらカッコ悪いからなあ」とか、そういう考え方をしていたのだろうか?
 だとしたら、それはボロ負け以上にカッコ悪いとオレは思うのだが、おそらく「野球」というのは、そういう考え方(1回表無死一塁でいきなりプッシュバントを仕掛けて行くタイプの作戦を「頭脳的」あるいは「積極的」と評価する感覚)を基盤に成立しているんだな、結局。

 確かに、アメリカンベースボールはあんまり安っぽいマッチョドラマであり過ぎるし、その能天気さはアメリカ人でない人間にはちょっと受け入れがたい。
 しかしながら、じゃあベースボールを女々しくすれば正常化するといったような問題でもない。
 ともかく、わが「野球」は、女々しく、卑怯で、辛気臭い、「ベースボール」とは似ても似つかない一種異様なスポーツになっている。

 うん。
フナと金魚ぐらいの違いはあるな。

 フナの野卑さを嫌ったわたくしども日本人は、徐々にその野生を手なづけて観賞用に改良し、数々の珍奇な変異種を生んだ。
 そして、最終的には最も醜怪なランチュウを以って最上の美とする倒錯した美意識を獲得するに至ったわけです。

 島国だなあ。


11月7日 土曜日 曇り一時雨

 寒い。
 午後、磐田VS柏をTV観戦。
 ストイチコフのいない柏は、磐田にまるで歯が立たない。
 4-0。
 後半30分を過ぎたあたりから眠ってしまった。

川崎VS鹿島
 1-2で鹿島のVゴール勝ち。
 柳沢は確実にレベルアップしている。
 ヨミウリは善戦。
 トップに高木みたいなデカいポストがあると戦術がシンプルになっていいのかもしれない。
 U-19の韓国チームみたいだった。
「困ったら高木にロングボール」
 志の低い戦術ではあるが、格下のチームにとってはやはり有効なのだろう。

 浦和戦はまたしても放送なし。
「スーパーサッカー」でゴールシーンだけ観た。
 2点目の小野クンの飛び出しはGOODだった。

●日米野球
 結果しか知らないが、8-1でアメリカさんが勝ったようだ。
 いいぞ。
 メジャーのみなさんには、ぜひこのまま7連勝していただいて、日本の野球が赤毛芝居であることを証明して行ってほしい。

「うーむ、どうやらオレたちは劇団四季のブロードウェイミュージカルみたいなものを見せられていたようだぞ」
 と、心あるスポーツファンが気づかざるを得ないような、徹底的な壊滅的敗北を我々の野球に与えてほしい。

 野球は、「東武ワールドスクェアー」や「志摩スペイン村」みたいな、「本場の人には見られたくない」感じのするものだ。
 実際、私は、日テレの「劇空間プロ野球」がアメリカで放映されたらが、と思うと、冷や汗が出る。
 ひと頃の和製ポップス(ジャクソンファイブに対するフィンガーファイブだとか何人かの「和製プレスリー」)や、「1986年のマリリン」(誰だっけ?)を見たときに感じたのと似た、なんともいたたまれない恥ずかしさ……。

 サンノゼの日本料理屋で変なてんぷらを食わされた時のことを思い出す。
「おい、この葉っぱは何だ?食えるのか?」
 とオレはS川に尋ねたものだ。
「ああ、これね。なんか、サシミのツマ的なもんだね、きっと」
「てんぷらのツマか?」
「うん。こっちの人たちは、なんだか、日本料理っていうのはやたらにそのへんの植物の葉っぱで飾り立てるものだと思ってるみたいなんだよな」
「それにしても、こんな多肉植物みたいなグロテスクな葉っぱで何を飾ってるつもりなんだろう」
「まあ、連中からしてみれば防風だのシソだのなんかもグロテスクな点では同じなんだと思うけどな」
「……と、これは何だ?」
「ああ、これね。きゅうりもみのつもりみたいだよ」
「この、メロンのできそこないのスライスがしなびてるこのモノがか?」
「うん、食うなよ」
「なんでさ?」
「食ってみればわかるよ」
「…………うわっ」
「な、えらく酸っぱいだろ?」
「っていうか、根本的に漬物とピクルスとサラダと付け合せの区別がついてないんじゃないか?」

 おそらく、日本野球を見たメジャーリーグの諸君は、私が天ぷらのツマ(羊歯みたいな葉っぱだったぜ)を見た時と同じような困惑をおぼえたことと思う。

 申し訳なかった。
 サシミにマヨネーズをつけて食っちゃうキミたちも問題だが、ベースボールを醤油くさい干物にしちまったオレたちの方が罪は深い。
 勘弁してくれ。
 おわびにイチローと松井に大魔神をつけて、おまけに松坂もあげるから、好きにしてくれ。
 すまなかった。