10月11日 日曜日 晴れ
 寒い。
 P社O氏よりメーリングリストの勧誘(REDS岡野選手関連)。
 うーむ、どうしよう。
 昔、誰かに聞いた話では、ちょっと活発なメーリングリストに入会すると、瞬く間にメールボックスがオーバーフローしちまうらしいというが、大丈夫だろうか。
 一日200通もメールが来たらどうしよう。
 ま、さほど義理堅いタイプじゃないから、RES圧力に悩むことはないかもしれないけど……
 むしろ、オレの場合、メッセージを書いちゃった場合の方が問題だな。
 口のききかたに万全の注意を払わないと、すぐにトラブルになるぞ。
 遠慮したものの言い方が得意なわけでもないから……
 実際、掲示板で見かける口論の類って、神経疲れそうだしなあ……
 それに、オレって、岡野よりは、むしろ小野君のファンだし。
 はずかしいなあ。
 サッカーは中田に小野、海外ではロナウド、ジダン、デルピエロ、野球はイチローと松井、でもってバスケットのジョーダンにボクシングのデラホヤってんだから、つくづくスーパースターに弱いミーハーなわけだよ、オレは。
 はずかしいなあ。
 人に言えないぞ。
 まるで女子高生だ。

 って、何をうじうじしてるんだ?

 入会するなら入会する。
 断るなら断る。
 
 もう少し様子を見よう。


10月12日 月曜日 曇り時々晴れ
 さらに寒い。
 冬が近づいている。
 アルコールの本を書かねば。
 経済的な事情もさることながら、この問題にきちんとした結論を出しておかないと、オレは一生空き瓶だ。

 タイトルをどうしよう。
 ズバリ、空き瓶、か?
 ライフ・イン・ア・ボトル
 ボトル・オブ・ライフ
 瓶の中の人生
 アウト・オブ・スピリッツ
 ドランクシナトラ
 上を向いてアルコール
 鶏口となるもcocktail
 わかんねえか。
 

10月13日 火曜日 曇りのち雨
 昼の時間帯のワイドショーはほとんど和歌山の事件一色になっている。
 おかげで、貴乃花の洗脳騒動やtoshiの自己啓発セミナー関連の話題は、見事にすっとんでしまった。

 防衛庁のスキャンダルもまったく影が薄い。
 仮に、林夫妻がいなかったら、防衛庁とNECはずいぶんとひどいことになっていたに違いないのだが。

 もしかしたら、あのカレー事件は防衛庁のしわざかもしれない。
 彼らなら砒素の入手なんて屁のカッパだし、混入も偽装工作もお手のものだろう。
 それに、NECの協力を得れば、警察無線の盗聴もデジタル交信の解析も、それこそ赤子の手をひねるようなものだ。

1.自衛隊の関西方面本部が和歌山での保険金詐欺および殺人未遂事件を嗅ぎ付ける。
2.参謀本部がスキャンダル拡大のため夏祭りのカレーへの砒素混入計画を立案
3.NEC広報部が割烹料理店会計システムの無料提供をエサに、包丁人、神田川を説得
4.林眞須美容疑者に変装した神田川(ズラの交換だけでOK)が絶妙の味付けをしながらの砒素混入に成功

 うーむ。あり得ないとは誰もいえない。  言えるか?

雀卓に 給仕する妻 一人勝ち
あ悲惨や 城有りて後 人の亡き
ひそやかに 鍋に沈めし 隠し味
和歌山の ハヤシライスや 砒素仕立て


10月14日 水曜日 雨
 小さいニュース。
 練馬でアダルトビデオの通信販売をしていた店の店主が逮捕された。
 警察は、無修正のわいせつビデオを数百本押収したのだそうだ。
 ……とすると、この店はある意味で良心的だったのではないのか?
 噂では、ビデオの通販では、顧客が訴え出られないのを良いことに、題名だけワイセツで中味は何でもないモノ(←「獣たちの狂宴――モザイク無し!正真正銘の本番映像」で犬の交尾ビデオだったりするような)を送ってきたりするらしいんだけど。

●レッズ辛勝、2位浮上!
 あぶなかった。
 やはり、小野クンがいないと攻撃のバリエーションが乏しくなるようだ。
 岡野も相手が守備的だとあんまり機能しない。
 チキは偉い。
 福田はまたもバーに当てていた。
 がんばれ。

●阪神、野村克也氏に監督要請。
 うーむ。
・野村がカツノリとの抱き合わせ入団を条件にして交渉。
・で、すったもんだの末、タイガースの正捕手はカツノリに。
・と、いしいひさいちが、岡田二軍監督の似顔をそのまんまカツノリ用として流用。
・ヘソを曲げたオカダはアホの坂田を二軍参謀コーチに引っ張る。
・阪神ファームによるどんでん野球が一軍の観客動員を上回る。
・野村監督は、田淵、江夏、バース、バッキーの再生に専念。
 ……って、これぐらいやらないと阪神の浮上はないぞ。


10月15日 木曜日 曇り
 まずい。
 ここ2ヶ月ほど、NTTの通信費が1万円を超えている。
 恐らく、プロバイダの料金もひどいことになっているに違いない。
 受信習慣を改めることにしよう。
 無駄なサーフィンを避け、メールチェックの回数を抑え、なるべくスタンドアローンな態度を貫き、できればパソコンにも触らず、いっそ呼吸を省略して、望ましくは死んだ方が良いのかもしれない。

 貧乏
 辛抱しても貧乏
 瓶の中のボートは
 八方ふさがりの閉鎖航路を  漕ぎ出すことができない
 
 貧乏
 当たりのないビンゴゲーム
 瓶詰めのボードレールは
 四面楚歌の密閉宇宙に  独り言もままならない

 思えば 無駄な時を過ごしたものだ
 貧乏神の接待に
 幾千の昼夜を 費やして
 あげくの果てが 不惑の坂道だ

 鏡を見ろ
 上目遣いに
 お前を呪っている男に
 見覚えがあるはずだ
 
 年を取ったのは 仕方がない
 残念なのは 大人になる前に 年寄りになっちまったことだ

 貧乏神が まだ天使だった頃
 楽園の先住民は
 未使用の未来を
 天恵の果実と思い込んでいた
 が
 銘記せよ
 汝 生前の死者よ
 いかなる美味も
 喉元を過ぎれば
 未消化のうんこに過ぎない
  
   ふん。  くだらない。
 貧乏は、詩にならない。
 というよりも、より正確に言うなら貧乏は詩を生まないが、詩は貧乏を生むってことだ。
 用心しよう。
 アルマジロのギター。
 音色はともかく、死体は死体だ。
 
  10月16日 金曜日 雨
 性同一性障害の患者が性転換手術を受けた。
 わが国では初のケースだということだ。
 ふむ。
 報道の伝えるところによれば、これはあくまでも「治療」なんだそうだ。
 なるほど。
 つまり、自意識と肉体が乖離していた場合、間違っているのは肉体の方だという判断なのだろう。
 だからこそ、医師団は自意識と矛盾する肉体は改造することにしたわけだ。
 ってことは、自分を犬だと思い込んでいる人間の場合、犬化手術をするのが正しい治療法ってことなのか?

 冗談はともかく、この患者の場合、おそらく胎児段階での脳の性分化が「男性」に決定したにもかかわらず、肉体的には女性として生まれてきたということなのだろう。
 要するに、「性別」は、一様ではないということだ。
 脳の性別と性器の性別(ついでに言えば通念としての社会的性別や性的役割)は、必ずしも一致しないのである。
 とすると、肉体を治すとか、脳を治すとか、そういう問題ではない。
「私は男性脳の女性です」であるとか「私は女性脳の男性です」とかいった、多様な性別に属する人々の権利や生存権を、法的、社会的に整備して行くのが先決であるはずだ。

 患者は、「自分の性別と肉体に対して常に違和感を感じていた」という。
 ふむ。
 気持ちはわからないでもない。
 が、「自己に対する違和感」は、これは、特に珍しい現象ではない。
 というよりも、むしろ、自己および自己の肉体に満足している人間なんてほとんどいない。  たとえばオレは「貧乏人である自分」に違和感を感じている。
 ……と、医者は、オレの貧乏を治療してくれるだろうか?
 また、オレは身長180cmの自意識を抱いているにもかかわらず、164cmの肉体とともに生きているわけなのだが、これも治療してくれるのか?
 保険はきくのか?
 医学界は、うぬぼれ屋のブスのすべてに整形手術を施すつもりなのか?
 単に学問的関心や売名を理由に君たちは性転換手術というリスキーな領域に手を出しているんではないのか?
 マスコミの諸君も、ものわかりの良さをアピールしたくて彼らにエールを送ってるだけなんじゃないのか?

 中には自己の実存そのものに強烈な違和感を抱いていて、最終的に自死を選ぶ人々もいる。
 こういう人々の場合、脳が生存を否定しているわけなのだから、間違っているのは生命で、治療法は死ってことか?
「どうも、私は自分が生きてるような気がしないんですよ」
「ふーむ。そりゃ、自我同一性障害ですね。死んでもらいましょう」

 性のような微妙な(そして包括的にして全人格的にして、法的、社会的、商業的な)問題を、「障害」であるとかいった「病名」みたいな概念でもっていとも簡単に分類し去って、しかもその「病気」を「手術」でもって「治療」できると思い込んでいる彼らは、たぶん病気だ。

 患者も患者だ。
 身長の高低や顔の美醜と同じく、性別もまた思うにまかせないものではあるが、しょせんは相対的な比較の問題に過ぎない、というふうに考えられないものだろうか?
 1か0か、オールオアナッシング、男か女か……ってな調子で、必ずしも二値的に考えなくても良いではないか。
「ま、どっちかっていうと、女というよりは男に属しているわけなんですけどね、あたしは」――ぐらいにさ。
 ……って、無理か。
 うん、無理かもな。
 すまん。
 好きにしてくれ。

 それにしても、脳死臨調とか、医療倫理委員会(←こんなもんあありましたっけ?)とかの人々はどう考えているんだろう。

「どうなんですか?こんなことでいいんですか?」
「委員です」
  ……そうか。
 ちょっと、歯が立たないな、この人たちには。
 きっと、金融正常化委員も、横綱審議委員も、みんな同じなんだな。
「あんた方は、一体何者なんですか?」
「委員です」
 ……うん。委員だろうさ。何だって良いんだ、きっと。医者もどうせそんなもんなんだよな。
「医院です」
 そうかそうか。
「医師頭」
 うんうん。
「日本縊死会」
 わかったわかった。
 オレが悪かった。
 勘弁してくれ。


10月17日 土曜日 雨
 マリノスVSアントラーズおよびエスパルスVSレッズ戦をテレビ観戦。
 アントラーズは前半にマジーニョが退場をくらって、10人での闘いになったが、2対1で逆転勝ち。さすがだ。
 ジョルジーニョが通算3枚目のイエローを貰って次のレッズ戦に出られないことが決定した瞬間、
「よし!」
 と思わず声を上げた。
 ……
 林眞須美容疑者の気持ちがすこし分かった。

●レッズ惨敗
 が、レッズは、延長の末0-1で負け。
 内容的には終始押されっぱなしで、オリバのハズしまくりに救われていただけの試合だった。
 なんとかポストとバーと幸運に守られて粘っていたが、最後の最後にオリバに決められてしまった。
 敗因は中盤を完全に支配されたことと、攻めのパターンが単調(というよりも、攻めの時間帯そのものがほどんどなかった)だったことだろうか。
 せっかく攻撃に回っても、前線に上がっている人数が少ない。
 岡野が1対1をハズしたのは、まあ仕方がないが、延長に入ってからの波状攻撃で、福田のヘッドのこぼれダマを決められなかったのが痛かった。
 ああいう時、どうして岡野は必ずスライディングしているのだろう。
 名高いイラン戦のゴールデンゴールでも、なぜか滑る場面でもないのに滑って決めていたが、やはり全速力で走り込んできた以上、勢いとして滑らざるを得ないものなのだろうか?

 全体にセンタリングの精度もいまひとつだった。
 パスもつながらないし、なにより中央に人がいない。
 やはりゲームメーカーの小野君を欠いているのが響いたようだ。
 痛い。
 遺体。
 とにかく、次のアントラーズ戦は絶対に落とせない。
 ……なーんて、オレがリキんでもどうにもならないけどさ。  
 
●日本シリーズ順延  日本シリーズは明日に順延ということだが、明日も台風の影響が残っていそうであやしい。
 横浜、西武ともに屋根のない球場を本拠地とするだけに、ヘタに雨が続いて日程がズレこむと、日米野球のスケジュールに食い込む可能性もある。
 そうなったら良いと思う。
 オフ肥りの大リーグ観光選抜とメンバー落ちの日本選抜が、日テレ主導の馬鹿騒ぎに付き合っている裏で闘われる、忘れ去られた日本シリーズ。
 いいじゃないか。
 無気力な東尾とシニカルな権藤が懐手で采配を振るう、地味で気勢の上がらない晩秋の日本シリーズ。
 シブくて良いと思う。

 日米野球は、やはり日本に勝ってほしい。
 それも、ノーヒットで掠め取った1点をうじうじ守り切る盆栽野球で勝ってほしい。
 打たれないかって?
 打たれません。
 大リーガーの筋肉栽培選手諸君は黄色い野球の国のしょんべんカーブを打つことができないのです。
 だって、わが軍の投手はストライクを投げないんだから。
 ホームベースの外側を護送船団方式で通過して行くミズノ製硬式野球ボールに、彼らのローリングスのバットは届きません。
 ああ。
 苛立つ米人は、カスター将軍率いる騎兵隊よろしくただただ愚直にボール球を振りまわしながら、次第にフォームを崩して行きます。

 一方、敷島の大和の国のバッターは、もちろん、振り回したりなんかしません。
 4番打者までがバットを短く持ってコツンコツンと当てに行きます。
 でもって、振り逃げ、盗塁、犠打、犠飛で1点。
 1塁コーチャーの土井は片頬で笑いながら言います。
「りーりーりー」
 コオロギですね。
 そうです。うちの方の野球では、1塁コーチャーは、敵方のピッチャーを苛立たせるのが仕事なわけです。
 で、終わってみればノーヒットの日本軍が6安打16四死球の米軍に1-0で完勝。
 こういう試合が5試合ほど続いて、最後は切れたヤンキーさんたちが正義を求めて乱闘をはじめるわけですね。
 が、日本の正義は、彼らの正義とは違います。
 正々堂々と闘うのが正義だなんて、そんなギャングエイジの正義感は、とっくに卒業しているんですよ、歴史のある国の国民は。
 ですから、もちろんわが軍は徹底的に逃げまくります。
 乱闘も相手が逃げ腰ではただのいじめです。
 
 そんなわけですので、朝日新聞は、したり顔で書きますね。
「フェアプレーでは日本の勝ち」
 はい、そうです。
 鈴虫新聞の鈴虫社説です。
 えっ?おわかりにならない?
「倫理倫理と夜も眠れず」
 ははは。
 お粗末。
 で、日出ずる国の野球ファンは居酒屋で語るわけです。
「どーもアメリカの野球は大味でいけねえやね」
「そうでげすねえ、なんたって配球にワビサビがありませんや」

 当然、日米ワールドシリーズ実現会議は紛糾いたします。
「会議をはじめます」
「What?you mean skeptics?」
「Unbelievable!」
「不信?」
「いや、不振のことじゃないですか?」
「懐疑ですか?」
「実現懐疑?」
「Kiss your ass!」
「ん?汝の明日に期す?」
「どういう意味でしょうねえ?」
「fuck your mother!」
「はぁ?汝の母は不惑なり?どういうことですか?私の母は喜寿になりますが……」

 外務省の諮問機関である野球文化交流委員会はあわてます。
 議長は言います。
「委員かい?」
 答えはいつも同じ。
「委員です」
 ノープロブレム。
 合掌。