8月23日 日曜日 晴れ
夕方から西口の祭りに出かけた。
会場となっている公園には露店が出て、大音量で盆踊りの音楽が流され、中央にしつらえられた特設舞台では太鼓が鳴り響いていた。
同じ曲が、いちいち2連続で流され、それがまた繰り返されるのには参った。
結局、踊り手が踊りを覚えるまで繰り返さないときちんとした輪ができないってことなんだろう。
それにしても都はるみの「好きになった人
にはつくづく閉口した。
太鼓が出鱈目なのもさることながら、あの歌唱法はなんとかならないのだろうか?
自分が大の演歌嫌いであったことを改めて認識しつつ1時間ほどで退散。
8月24日 月曜日 晴れ
取材で名古屋に行った。
カメラマン氏も私も現金の持ち合わせが心細かったので、飲食および買い物はカメラマン氏のカードに頼ることになった。
ところが、名古屋の駅ビル近辺にはなぜかカードを使える店が見つからない。
デパートなら大丈夫だろうと、近鉄ビルのうなぎ屋でカードを出すと、露骨に迷惑そうな顔をしたおばちゃんが
「ちょっと待って下さい」
と言ったきり、カードを持ってどこかに行ってしまった。
15分ほど待たされて、やっと帰ってきたおばちゃんの言うことには
「機械が手入力だから……」
ということらしいのだが、いったい名古屋という町はどうなっているのだろう?
この町の人々はカードを使わないのだろうか?
あるいは、カードを使う人間を、名古屋人は異常視しているのだろうか?
いや、むしろ間違っているのは、安易にカードに頼る我々の方なのだろうか?
カードを信用しない名古屋の人々は、ケチなのだろうか?堅実なのだろうか?それとも単に時代遅れなのか?
わからない。
8月25日 火曜日 晴れ
テレビをつけると、安藤優子キャスターが緊迫した表情で
「パソコンを使っている人は、必見!コマーシャルの後、スクープです」
と言っている。
ん?
と思って続きを観ると、どうやらコンピュータウィルスのニュースだ。
なんでも、ハードディスクの内容を全消去するタイプのウィルスが広まっているらしい。
で、そのウィルスは毎月26日に発症するように作られているということで、男の方のキャスター氏が
「今、パソコンをつけている人は、スイッチを切った方がいいかもしれません」
とか言っている。
ん?
仮に感染しちまっているんだとしたら、スイッチを切ってどうにかなるものなんだろうか?
何もわからない。
テレビのパソコン関係報道というのは、どうしてこうなんだろう?
不安を煽ったり、スクープを気取ったりしてるくせに、肝心の情報はまるっきりスカスカじゃないか。
爬虫類関連のニュースでも同じだが、テレビや新聞のニュース(マスメディアの報道)は、素人の目には専門的に見えるかもしれないが、専門家の目で評価してみると、まるででたらめだ。
オレの場合、爬虫類とコンピュータについては多少とも専門的な知識を持っているから、この2分野に関しては、報道内容のいいかげんさを見抜くことができる。
あるいは、彼らの流しているニュースは、あらゆる分野について、出鱈目なのかもしれない。
経済の専門家は、テレビの経済ニュースをまるで相手にしておらず、軍事専門家は、テレビの軍事ニュースを鼻で笑っている――おおいにありそうなことだ。
少なくとも、私は、爬虫類報道とパソコン報道に関しては、テレビを信用しない。
連中は素人をたぶらかしているだけだ。
ところで「素人」を「知ろうと」と変換してきたATOKは偉い。
素人というのは何も知らないからこそ知ろうとする。が、アタマが悪いからか勤勉さを欠いているからなのか、彼らの情報許容量は、100バイトにも満たない。で、結局、素人は、鵜呑みをするか短絡をするか、でなければ、あらかじめ持っている貧弱な偏見に戻っていくことしかできない。
ばか。
8月26日 水曜日 曇
打ち合わせで恵比寿。
帰り道、恵比須赤羽間の最適経路について迷う。
埼京線の恵比寿始発は本数が少ない。正直に待つにはリスクが大きい。
新宿乗り換えは乗り換えのための歩行距離が長い。
池袋乗り換えは乗車時間が長くなる。
迷っているうちに、始発が来た。
うむ。
時間が解決するというのは、こういうことなのかもしれない。
つまり、迷うための選択肢がなくなってしまうというのか……
いずれにしろ、時間の経過とともに選択の余地は減る。
素晴らしいことだ。
8月27日 木曜日 曇
林真理子妊娠。
ワイドショーを見ると、真理子先生はインターフォン越しにけっこう律義にインタビューに答えている。
レポーターがネタ切れで取材先に困っているのは理解できないでもない。
林真理子がマスコミ向けにコメントしたいのも、まあこの人の体質のようなものなのだろう。
が、誰が林真理子の妊娠について詳細を知りたいと思っているのだろうか?
それでもニュースは流れる。
まるで9月の雨で増水した川を流れて行く 豚の死骸みたいな調子で。
うむ。
中流域のどこかに、養豚場があって、その養豚場の不良在庫を、不良所員が不法投棄すれば、下流域に住む人々は、望むと望まざるとにかかわらず、豚の死骸に直面することになる。
オレは何を言っているのだろう。
8月28日 金曜日 雨
ひどい雨が降っている。
徹夜明けには、なぜか必ず雨が降る。
とすると、天気を決定しているのは、オレなのか?
オレが雨に影響されて不機嫌になっているのではなく、オレの気分に気を使って、天気の方が調子を合わせているのか?
8月29日 土曜日 雨
引き続き雨。
昼中寝る。
起きてみると、体が重い。
体重が2倍になったのだろうか?
体力が2分の1になったのだろうか?
それとも、地球の重力になにかが起きたのか?
あるいは、ニュートンが計算間違いをやらかしたか、でなければ単に疲れているということなのだろうが、寝て疲れるというのはどういうことだろう。
寝疲れ?
そんなことがあるのだろうか?
食べ空腹とか、洗濯汚れとか……