11月5日 日曜日 晴れ
 午前中の週間ニュース総括番組は、どれもこれも同じ。絵に描いたような予定調和コメントのオンパレードだ。
 リアルタイムのニュース番組と比べて、なまじに解釈する時間がある分、伝える側のバカさ加減が目立ってしまうのかもしれない。
 たとえば、田中康夫氏の「しなやかな情報公開」について、ツッコミを入れる人間が一人もいない。
 奇跡的なことだと思う。
 普通、こんな抽象的なセリフをこんな頻度(だって、康夫ちゃんはテレビに映る度にこのセリフを繰り返し言ってるんだから)で聞かされたら、誰だって
「で、それって具体的にはどういう意味なワケ?」
 と、尋ねたくなるはずだ。
 コメンテーターさんたちは疑問に思わないのだろうか。
 それとも、手加減しているのか?
 彼ら(つまり、週末の朝のニュース解説バラエティーに出てくるみたいな半端文化人)にとって、康夫ちゃんはある意味同業者だからってことか?
 
 田中康夫の手法は昔から全然変わっていない。
 なんとなくクリスタル、ブリリアントな午後、ファディッシュ考現学(だっけ?)、東京ペログリ日記、どれもこれも、ちょっと目新しいカタカナとそれにそぐわない日本語を組み合わせることでできあがったキャッチフレーズだ。
 あえてミスマッチな言葉を並べて「ん?」と思わせる。
 広告屋のやり口ですね。
 しかも、これを恥ずかしげもない頻度(広告業界的には「露出度」と言うらしいですね)で連発する。
 ほかにも、「レシピ」だとか言う言葉を本来の使用場所と違う場所に無理やり当てはめて多用したり、「心智」なる造語(だよね?)を必ずカギカッコ付きで使ったり(←田中が時々使う唐突なカギカッコは、「この言葉の真の意味がわかっている人にオレは語りかけてるわけなんだけどさ」ぐらいのニュアンスを含んでいる。ま、コケ脅しだな)と、こやつの口のききかたはいつも同じだ。読者の側(あるいは聞き手の側)にあえて違和感をおぼえさせることで注目を集める方法だ。ペログリを「PG」と表記することも同じ。っていうか、ペログリ自体が造語なわけだ。
 とすれば、
「ん? この言葉はどういう意味なんだ?」
 なんて思うのは、康夫ちゃんのペースにはめられているということにほかならない。
 質問をすると、きっと康夫ちゃんは
「あなたはこんなこともわかっていなかったのか?」
 と驚いてみせたあとに、くだくだしい説明をして、「教える側の優位」ってやつを確保しにかかるであろう。
 うむ。
 質問は厳禁だな。
 ってことで、第三者である私が、皆さんに「しなやかな情報公開」の正式な意味をお知らせすることにする。
 他人に説明されると、康夫ちゃんもちょっと困るはずだからして。

 「しなやかな情報公開」は実は予言だ。
 というよりも、天が田中康夫自らの口を通じて言わせた啓示だ。
 ワープロにかけてみればわかる。

 「しなやかな譲歩右顧迂回」

 おお。
「譲歩し、右顧左眄し、迂回する」……風見鶏言論人・田中康夫の日和見人生そのままじゃないか。
 95パーセントが野党といわれる長野県議会において、田中康夫は、おそらく完全に進退不能の事態に立ち至るであろう。そして、だらしなくも体制に譲歩することを余儀なくされ、右翼の脅しに屈し、あらゆる道を迂回して通らねばならなくなる。
 なるほど。
 康夫ちゃんの未来そのままだ。
 これまでの田中康夫の言論人生は、極言、詭弁をもとにした羊頭狗肉に終始してきた。また、それで間に合ってきたし、それがうまくまわってきていたことも事実だ。
 が、政治にクビを突っ込んでしまったのは失敗だった。
 地方政治とは言っても、政治は政治だ。
 政治は、権力が動き、カネが動き、人心が動く現実の舞台だ。
 彼がこれまでに活躍していた空理空論のマスコミとは違う。
 とすれば、これまでの手法は通用しない。
 えっ、「しなやか」っていうのはどういう意味なのかって?
 ははは。「無節操」「変節漢」ということの康夫ちゃん的言い替えです。
 つまり、今後、康夫ちゃんは、無節操にのらりくらりと妥協し、譲歩し、屈服し、迂回し、変節しながら、もの書きとしての晩節を汚し続けて行くわけですね。みんなで見守りましょう。わくわく。

ball20.gif浦和VS水戸
 テレビ放映が無いので、ネットにて速報チャットをロムる。
 1-0で勝利。
 大分は、ロスタイムで追いつかれて引き分けとのこと。しかもウィルが侮辱行為でレッド。いいぞ。素晴らしい流れだ。
 水戸あたりに最小得点差というのはちょっと物足りないが、まあ、カタくなっている中でとにもかくにも勝利という結果をものにした事実をことほがねばならない。
 しかもトラの子の1点(←この表現はいかにもスポーツ新聞っぽい陳腐さがハナについて嫌いなのだが、状況がこうなってくるとどうして実感がある。トラの子)は伸二のミドル。万歳。

 深夜。目覚ましをかけて「速報J2」を観る。
 ばんざい。



11月6日 月曜日 晴れ
 忙しい。
 午後1時、芝で取材。
 午後3時、浜松町で打ち合わせ。
 午後4時半からの歯医者はキャンセルせざるを得なかった。

 パスポートが見つからない。
 紛失したのかもしれない。
 旅行カバンを見つけたが、中身は空っぽ。カビが生えている。
 旅行カバンにカビ。うん。私の道祖神はたぶん死んでいる。


11月7日 火曜日 雨のち曇り
 午後、板橋不地味病院に出動。
 その後、巣鴨に出動。
 帰宅後仕事。
 ごっそりたまっている。


11月8日 水曜日 晴れ
 早起きして仕事。
 奇妙にはかどる。
 原稿を3つ。ゲラ直し。雑用を2つほど。

※重信房子逮捕
 逮捕については夕刻、ネットで知った。
 革命ロマンチシズムにカブれた世代は、その象徴であった女の逮捕に、あるいはショックを受けているかもしれない。
 ざまあみろと言っておこう。
 わかりますか? おじさん、あの女は麻原ショーコーと同じに扱わないとダメです。
 だって、無差別殺人を立案指揮策動したリーダーなんだから。
 ぼくの言っていることがわかりますか?
 死ぬまでわからないかもしれませんね。「ロマンチスト」という言葉が誉め言葉だった恥ずかしい時代の思いあがったエリートである、全共闘の腐れインテリの皆さんには。死ぬまで。
 学生であることがそのまま前衛を意味すると思いこんでいた驚くべき傲慢。
 逝ってよし、と言おう。

 日立製作所の人事課長を思い出す。あの男は言うに事欠いて
「オレたちの時代は、権力が見えていた」
 なぞと抜かしていた。
 大学を出てプー太郎をしていた私は、あきれて声も出なかった。
「キミたちは闘ってないよ」
 いまでもあの時に殴っておかなかったことを後悔する。
 へらへら笑って聞き流しているべき話ではなかった。
 一部上場企業の中枢ラインにおさまって得意になっている全共闘くずれ。
 四谷のスナックで若い者を相手にゲバルト闘争自慢を繰り広げて、いささかも恥じない東大出のクズ。
「どうして企業にはいったんですか」
 と誰かが聞いた。
「内部から変えて行かないと意味がないことに気付いたんだよ」
 ああ。
 今思い出しても腹が立つ。
 重信房子が捕まったのはとても良いことだと思う。
 失敗した革命家は断頭台にかけられるべきだ。
 できれば、あの人事課長も。
 体制内改革だとかいう恥知らずな四文字言葉を並べる阿呆はギロチンにかけられるべきだ。
 チクっておけばよかったなあ。
「おたくの人事課にいる○○は、ありゃアカですよ。そこいらへんのスナックでゲバ棒を振りまわしてたことを自慢してますよ。いいんですか? 日立ともあろう日本を代表する企業が、あんな赤虫を飼っていてそれでお国に申し訳が立つんですか?」
 とか。

 逮捕の映像は「ニュース23」で観た。
 東京駅で護送される重信は、にこやかに手を振っていた。
 誰に手を振っていたのだろう。
 人民?
 なあ、いいかげんに気付いたらどうだ?
 あんたの人民なんてどこにもいないんだぜ。
 失敗したテロリストの英雄気取り。
 滑稽だった。

 それはともかく、ニュース映像の手錠の部分にモザイクがかけられていたのは、あれはどういう意味だろう。
 各局ともすべてそうしていたのだろうか。
 ニュース23だけがモザイクをかけていたのだろうか。
 配慮のつもりか?
 としたら、誰に対する何の配慮だ?
 テロリストに配慮したのか?
 重信房子の名誉を重んじたとか、まさかそういうことなのか?
 シンパなのか?
 おい。
 あんたたちもあの人事部長と同じなのか?

 日本赤軍を英雄視する阿呆は、我々の世代にも少数ながら生き残っていた。
 その英雄視のあり方は、セリエAで成功した中田英寿に熱狂するサッカーファンの気分と似たようなもので、根っこのところは至極無邪気なものであったのだとは思う。
 といって、彼らを弁護する気持ちにはなれない。
 中田と重信はまるで違う。
 現象面だけを見れば、世界地図の端っこからこぼれ落ちそうになっているサッカー弱小国で生まれた一若手選手が本場のイタリアリーグで成功を収めたことと、昭和元禄生まれの平和な国の学生運動家あがりがテロの本場であるパレスチナでひとかどの存在になったことは似ていなくもない。
 が、テロの必然性も何にもない極東の島国の女学生がよその国に行って無差別殺人に荷担した事実は、単に醜いだけだ。
 殺さなければ殺される状況が現実に存在している場所で、千年以上も血で血を洗う闘争を繰り返してきた民族同士が半ば余儀なく実行している報復の連鎖としてのテロと、頭でっかちの女子大生が個人的な思いこみを実現するために他国に乗りこんでやらかすテロではまるで意味が違う。
 自己肥大。
 半端な美貌と半端な知能指数を備えた驕慢な人間の自己愛と自己顕示。
 それがテロという行動に結実せざるを得なかったのは、たぶん時代の不幸ってやつだ。
 ああいう時代に生まれたのでなければ、本来、重信房子はポルノムービーのモデルにでもなることでおのれの個人的な復讐を果たしていたタイプの人間だと思う。
 いや、たいした根拠は無いのですが、ライフルにアゴを乗せた写真なんかを見ると、ナルシスト丸出しの写りっぷりに女優の素養(というか業)が感じられるものですから。
 あるいは、もっと簡単な方法で自己破壊を試みたかもしれない。
 周囲がうまく持っていけば、っていうかドキュンな恋人と早過ぎる結婚でもしていれば、単なるパチンコ狂いのおばちゃんぐらいの無害な生き方に着地することも可能だっただろう。
 それでも、彼女は復讐をしたかもしれない。
 何に対するどういう復讐なのかはわからない。
 が、ともあれ、ああいう形で人生を踏み外す人間は、自分では復讐をしているつもりでいるのだと思う。
 iいや、もちろん復讐の何のっていうのは、私の憶測に過ぎない。違っていたらすまない。あやまっておく。

 ん? 大義?
 房子さん、それも復讐の一種だよ。っていうか、典型的な復讐だよ、他人の大義にコミットするっていうのは。

   総括してあげよう。
 あんたは、国際社会に虚名を轟かせた分、ある意味では麻原より罪が深い。
 つまり、戦後の犯罪者の中でも第一級の大物だってわけだ。
 満足かな?

   寝よう。
 ライターが眠ることは決して恥ではない。
 テロリストだって眠るのだから。
 あんなにたくさんの人を殺しておいて。



11月9日 木曜日 曇り
 寒くなってきた。
 急遽インド行きの話が持ち上がる。
 Bangaloreというところでおこなわれるシンポジウムだか国際会議に出席する話のようだ。
 とにかくパスポートを取らねば。
 でも、紛失してるし。
 ゴアさんとブッシュさんの選挙の結果はまだ決まらないようだ。
 

11月10日 金曜日 曇り
 寒い。
 家中をひっくりかえしてパスポートを捜索。
 ついでに引越し(おお、もう3年もたつのか)以来開けていない段ボールの封印を解く。
 考えてみれば、3年間開けてないのだからして、開けるまでもなく捨ててかまわないものばかりだとは思うのだが。
※旧石器捏造。
 ああ。
 バカな話だ。関係者は気付いていなかったのだろうか。
 いや、気付いていたからこそあんなスクープ(固定カメラで石器を埋める現場をバッチリ撮影)が可能だったってことか。
※イチロー14億円

 14億円といっても、これはイチローに支払われるわけではない。移籍金としてそのままオリックスに入る金額だ。なんでも、オリックスの全選手の年俸総額に相当するらしい。
 うーむ。
 選手のみならず球団にとっても、メジャー志向(選手をアメリカに売るということ)が、単なる夢ではなく、現実的な話になってきたということだろう。
 もしかしたら、これは日本のプロ野球がメジャーリーグのファームになって行く過程がいよいよ本格的にはじまったということなのかもしれない。
  ※大分vs水戸
 3-0にて大分の勝利。暫定の勝ち点が並んだ。
 深夜:Y田氏が訪れる。新しいPCを導入後早速mp3にハマっているらしい。


11月11日 土曜日 晴れのち曇り
 加藤紘一氏、森首相に退陣要求。
 長野県の報道が多い。
 康夫ちゃん効果か。
 報道量が増えることは事前からわかりきっていたことだが、このことをもって田中康夫の勝利と解釈するのはなんだか不愉快。
 長野県民のみなさんに恨みがあるわけではないが、バランス上、誰かが長野県のイメージダウンに尽力しないといけない。
 ってことで、今後長野県については、日本の屋根裏と呼ぶことにする。
 とすると、田中知事は屋根裏の散歩者か。

 J1。鹿島戦の放映がないのはどういうことなのか。仕方なくガンバ大阪VS柏レイソル戦をNHK総合で観る。
 夕刻。Y田氏が訪問。MP3情報を交換。