10月8日 日曜日 晴れ
 B社より宅配便が届く。
 何かと思えば、この夏に「同級生交歓」に出た時の写真。立派な額に入っている。
 たぶん、このコーナーに登場した人たちから「写真をくれ」という要望が多くて、それで額入りで送ることが編集部におけるデフォルトの対応として定着していったものであろう。
 このページに出ることになったパンピー(←一般人)さんたちにとって、名士と親しく一緒の枠におさまっている写真は、ちょっとした自慢になるのであろうからして。
 ふむ。
 とすると、オレと岡の場合は、どっちが名士でどっちがパンピーなのだろう。
 っていうか、どっちもパンピーだぞ。
 小雨降る庭園に立つ二人の零細文化人。しかもアロハにノーネクタイ。ガキの頃から決して垂直に立つことができなかった男たちの、漠然たる、所在なげな立ち姿。ヘンな含み笑い。緊張を欠いた画面構成……
 まあ、月刊誌モノクログラビアページに漂うスノビズムの匂いを軽減するためにはこれぐらいのスパイスが必要だった、と、そう考えればなかなか味な人選ではないか。当コーナーの民主改革路線を推進するための良い刺激になった、と、そう思って良しとすることにしよう。
 えっ?
 大衆化したらそもそも意味がないって?
 それは言いっこなし。

ball20.gifサッカー日本代表アジアカップ壮行試合  日本代表VSパリサンジェルマン

 生放送はスカパーのみ。
 ってことで、ネットにかじりついて経過を追う。
 おおお、後半になって小野伸二が出てきた。
 とても良いらしいぞ。
 おおお。
 と、わくわくしながら、深夜二時からのTBSの録画中継を待つ。
 なるほど。
 小野伸二は本当に久々のグッドジョブだった。
 ワンタッチのボールさばきがなんとも洒落ている。それになにより楽しそうだ。
 浦和ではこんなパフォーマンスはついぞ見たことがない。ってことは……(以下自粛)。
 最後に一言。言わないでも良いことではあるのだが……
 TBSはやっぱり腐っている
 後半12分過ぎにCMが入ったことはまあ良い。どうせ録画なのだからして、好きなだけCMを挿入すれば良い。なんにしても、放送しないよりはマシなわけだから。
 しかし、カットだけは容認できないぞ。
 CMが明けてみると26分になっている。なんだかんだで、いきなり15分ほどがカットされたわけだ。
 いつの間にか、柳沢と小野が出ていて、しかも何の説明もない。
 てなわけで、ネットの実況チャットを見て楽しみにしていた「柳沢の強引なドリブル」は、ついに見ることができなかった。
 おかげで、小野クンのプレイを10分以上見逃した。
 TBS、逝ってよし!


10月9日 月曜日 雨
 体育の日、だと。
 余計なお世話だよ。
 いつどんなふうに体を動かそうがそんなことは当方の勝手ではないか。
 ここで言う「体育」が、「運動」や「スポーツ」に翻訳できる単純な概念であるなら、まあ勘弁してやっても良いが、どうやらそうではない。「体育」は、もっと底暗い、権力者の情念みたいなものを内包している。
 って考え過ぎか?
 かもしれない。
 でも、オレは考え過ぎることにしているのだよ。
 考えが足りないよりはずっと良いじゃないか。
 いや、健康と安全のためには、考えは不足気味の方がむしろ良いのだろう。
 でも、私は考え過ぎる。
 ヒマだからね。
 つまり、「小人閑居して不善を為す」の中で言われている「不善」とは、具体的には「思考」のことなのだね。
 話を体育に戻す。
 「体」はともかく「育」の字が気に食わない。この成句には、「知育・徳育・体育」という愚民教化思想の匂いがどうしても残っている。
 いいかげん「○○の日」みたいな国民を教導・啓蒙するテの休日はやめてほしいものだ。
「10月の指定休日」で充分じゃないか。
 せっかくの休みを、やれ「勤労感謝」だの「文化」だのといった説教で汚される方の身にもなってほしい。土台、そんなことはお国にどうこう言われたいことじゃないんだから。
 というわけでヒキコモ。
 いや、本当のことを言えば別にお国に反発して閑居していたわけではない。
 雨だし、引き篭もり日和だったので。
 ま、そういうことだ。

※ビデオリサーチ

 「ビデオリサーチから来ました」(どうせ下請けのそのまたアルバイトだろうけど)というおばさんが、「十歳の女の子の意識調査」だかに協力してくれと言ってくる。
 面倒くさかったが、どういう調査をしているのかちょっと興味があったので、マンションの玄関まで降りて応対した。
「お願いします。いまこの地域で調査をお願いしているんですが、ほとんど不在だったり断られたりで、どうしても見つけないとならないんです」
「……はあ【そんなのはそっちの都合だろ】」
「アンケートの内容は、1週間の間に観たテレビ番組とか、あと、ここにある(←A4約20ページほどの中綴じのアンケート用紙)項目なんですが、たとえば、読んでいる雑誌ですとか、好きなおもちゃですとか……」
「……」
「あの、ここの説明にも書いてありますが、決してセールスに使うとかそういうことはありませんので」
「……」
 気の毒だったが帰ってもらった。
 謝礼の図書券の話は、最後までしなかった(あっさり引きうけたら寄越さないつもりだったのか?)し、何円分なのかも言わなかった。
 おそらく、マニュアルでは最初に謝礼の話をしなければいけないことになっているはずだと思うのだが。
 ま、図書券なんか要らないけど。
 本読まないし。

※JB「オッハー」連発@スマスマ

 「スマスマ」を観るともなく観ているとなんとジェームスブラウン先生が登場。
 ちょっと太って往年の体の切れは失っていたものの、元気さは相変わらずダイナマイトだ。
 JBは終始えらく機嫌が良くて、スマップの連中にしきりに「アメリカに遊びに来い」と言っていた。
「オレがバックアップしてやる。業界の大物に引き合わせてやる。オレのウチに来れば、デカいクルーザーで船遊びもできるぞ。どうだ。遊びに来い」
 JB、オレが逝きたいよ。

 JBは、最後まで上機嫌。シンゴ君に教わった「おっはー」が気に入ったらしく「グレイト!」と言いながら、何度もキメていた。
「ohha!」
 素晴らしい。
 ソウル人間国宝のゲロッパな日常。
 素晴らしい。


10月10日 火曜日 曇りのち晴れ
 朝一番にヤモ君を解放。
 ここのところ毎日生きた虫を用意するのが困難になってきていたことでもあるし、寒さへの対応にも自信が持てない以上、仕方がない。生者必滅会者定離。さよならだけが人生ではないにしろ、出会いと別れはセット販売が基本だ。
 街路樹の根方でケージのフタを開けると、ヤモ君は、常日ごろの世をスネたような身のこなしとは似ても似つかぬ素早さで飛び出し、そして、一度も振り返ることなく、ビルの横の植えこみの中に消えて行った。
 同じヒキコモリの仲間だと思っていたあいつは、どっこいしたたかな活力を秘めた野生の一滴であった。
 それにしても、尻尾ひとつ振らずに去るとは、薄情なヤツだ。ヤモリの薄情け。ボーン・トゥー・ビー・ワイルド。ヤモよ。お前にはペットとしての愛想の良さが徹底的に欠けている。そういうところが、犬猫に比べていまひとつ人気が盛り上がらない理由なのだとオレは思うぞ。
 結局、私の手元で、およそ三ヶ月の年月を暮らしたことになるわけだが、その間、気持ちが触れ合うようなことは一度もなかった。夜行性の生き物は心根が暗くていけない。
 いい嫁さん(いや、オスとわかっているわけではないんですが)を見つけて、強く生きていって欲しい。子供ができたら、顔を見せにきてほしいが、たぶん、先方はそういう心性は持っていないだろう。
 捕獲した生き物は、飼えなくなっても放すという逃げ道がある。
 その点、ショップで購入した外国産のエキゾチックアニマルは無責任に旅に出すわけには参らぬ。特に、1メートル50センチを超えるイグアナということになれば、家から一歩外に出せば一発で新聞記事になってしまう。
 
 午前中は二度寝。
 昼過ぎ、病院への付き添いで板橋本町に出動。
 夕刻は巣鴨までサッカースクールの送迎。
 良き息子、良き父としての申し分のない日常。
 ただ、働き手としてはちょっと不足かもしれない。
 マンションの管理人も不審がっている。
「何をしている人なのかしら」
 と、顔に書いてある。
「何もしてないんですよ」
 と顔で答える。
「ご存知でしたか? 何もしない人間を貴族と言うのです」
 そう。私は一生涯ほとんど何もしないだろう。
「カネさえあれば良い人だったんだけど」
 と、私が死んだら、そう噂してほしい。
 

10月11日 水曜日 晴れ
 8時起床。8時15分に再び就寝。あんまり気候が良いものですから。それに、NHKの連続テレビ小説だの民放の朝ワイドなんぞを観てしまうと一日がダメになってしまうから。
 昼過ぎに再び起床。
 4時から歯医者。
 親知らずが顔を出しかかっているので、しばらく様子を見るらしい。
 

10月12日 木曜日 晴れ
※レバノン情勢緊迫
 やばい。パレスチナの警察に拘束されていたイスラエル兵二人が群集によって殺害されたらしい。
 で、イスラエルは、報復としてパレスチナ自治区にミサイルを打ちこんでいる。
 おい、大丈夫なのかよ。
 われらが日本国民の宝、サッカー日本代表選手団は、ゴラン高原のすぐそばのレバノン南部にいるんだぞ。
 もしものことがあったら……
 想定することさえ不吉だ。自粛しよう。
 振り返ってみるに、私自身、かつて、これほどまでにパレスチナ情勢について深刻な憂慮の感情を抱いたことはない。これまでは、どんなに戦況が緊迫しても、しょせんは他人事と思ってみていたが、やはり身内(身内なんだよ、代表選手は)がかかわっているとなるとまるで違う。
 もし仮に、パレスチナのゲリラなり、イスラエルの政府軍なり、あるいはどんな勢力のいかなる跳ね上がりでも同じことだが、何らかの武装勢力が日本代表選手を人質に取ったりしたら……
 ……当然、私はあらゆる譲歩に応じるだろう。
 カネで済む話ならいくらでも出す(どうせ税金だし)し、なんならアメリカと国交を断絶したって良い。
 領土をよこせというなら、うーん、たとえば北海道のひとつぐらいなら提供するにやぶさかではないぞ。
 不足か?
 わかった。四国と九州も付けよう。われわれは当面、本州だけあれば暮らしていける。遠慮無く持って行ってくれ。そのかわり、代表選手22人は無傷で返してくれよ。
 ん?
 セレッソ大阪の二人を寄越せって?
 だめだよ。
 代わりに、大阪をやるからさ。
 なんなら京都もつけよう。
 ん?
 愛国心が無い、と?
 国賊? 売国奴?
 いや、人それぞれ、愛国心の置き所にも違いがあるわけでして、私の場合は、サッカー限定のパトリオットだということでご理解いただけないでしょうか。何と言うのか、国は売っても誇りは売らぬってわけでして、つまり私の誇りであるところの愛国心は、国土や国体よりは、サッカー日本代表の勝利に依拠しているのですよ。
「じゃあキミは国家主権も民族自決権も無い場所でまっとうなサッカーができると思っているのか?」
 ……なるほど、痛いところを。
 言われてみればその通りだ。「代表選手の安全な帰還のためのシーレーン防衛」とかいわれるとヨワいな。賛成しちまいそうだ。
 ネットを見ていると、野球ファンの愛国心もなかなかふるっている。特にオリンピックで惨敗して以来、あの人たちは面白い。
 野球ファンはマツザカ君が何をしても絶対に責めない。深夜デートもオッケー。駐車違反も無免許運転もオッケー。まるで軍神みたいな扱いだ。
 で、一方の女子アナはといえば、かわいそうに従軍慰安婦ぐらいの扱いだ。あくまでもマツザカ君の捨て石、性欲処理係。あるいは、スターに群がるハエ扱い。
「マツザカくん。若いんだから女遊びは仕方ないけど、くれぐれも野球に支障が出ないようにしてくれよ。それからあの女だけど、適当に遊んだら捨てちまった方がいいぞ。どうせ性悪のタマのコシ狙いなんだから。な、野球さえ頑張っていれば、じきに然るべき人がもっと嫁さん向きの女を探してくれるんだし」
 てなところだろうか。つまり、野球が強くなるためだったら、民放の女子アナがどうなろうが知ったことじゃない……って、おい、胸に手を当ててみると、オレも似たようなもんだぞ。リンカの時なんか、田舎の頑固オヤジみたいに逆上してたからなあ。いましめねば。


10月13日 金曜日 曇り時々雨
 午前中より午後3時まで昼寝。
 ある雑誌の原稿の中で、若い人たちに向けて推薦図書を10冊指定しなければならないのだが、見当がつかない。
 他人に薦められた本を読むようなヤツはダメだよ。
 ってことで、推薦図書無しで原稿を書くわけにはいかないんだろうか。
 どうしてもって言うんなら、2ちゃんねるを薦めたいんだけど。
 どうせダメだろうな。


10月14日 土曜日 晴れ
 サウジ戦が気になって朝から、落ち着かない。
 夕刻、Y田邸にて夕食も、サウジ戦観戦にそなえて一人だけ早退。別に9時前から備える必要はないのだが、やっぱり試合前は静かな場所で過ごしたいから。ヘンか?

ball20.gifアジアカップ予選リーグ  日本代表vsサウジアラビア代表
 楽勝。
 サウジは引きっぱなし。
 というよりも敵に攻撃の端緒さえ与えなかったというふうに評価すべきなのかもしれない。
 いずれにしても、国際Aマッチではちょっと記憶にない大勝だった。

 うれしい。
 小野選手は代表初ゴールなのだそうだ。
 うれしい。
 というわけで、ネットを見回ったり、ビデオを見返したりして眠れず。いやあ、うれしい。