5月28日 日曜日
 一日中寝ていた。
 眠いわけでもないのだが、なんだか目を開けているのがつらい。
 老眼が進んだということだろうか。
 十代から二十代を通じて、私はめったに一人前の男として扱われなかった。
 特に、妙齢の女性には、かなり露骨な子供扱いを受けた。
 ところが、ある日気がついてみると、若い女の子たちは私をおじさんとして扱っている。
 なるほど。
 若さは、年齢の問題ではないようだ。
 おそらく、セックスアピールの有無にかかわる問題だ。
 そして、セックスアピールとは、より直截な表現で言いかえるなら……
 いや、この先は言わずにおこう。
 還暦を過ぎたら、あらためて口に出してみることにする。
 今言ってもみっともないだけだろうから。


   
5月29日 月曜日 晴れ
 暑い。
 月曜日の無意味な太陽。
 初夏という、歳時記の嘘。
 記憶の中でのみ輝かしい真夏の青空。
 湿った火薬の匂い
 テロリストの昼食
 かやくごはん
 ん?
 誰も突っ込まないのか?
 オレを置いていくのか?
 こんなひどいところに
 この曖昧な季節の中の見識の無い夜の中に

 コール&レスポンス
 関西弁に翻訳すればボケとツッコミだ。
 おい、独り言はアタマの健康に悪いそうだぞ
 おお、そうか、ところでお前は誰だ?
 誰だって、決まってるじゃないか、午前二時に不機嫌な男の呼びかけに答えるのは死神だけだぜ
 

5月30日 火曜日 晴れ
 ベースボール誌の原稿をあげてから、巣鴨に行くも空振り。第五週は休みとのこと。
 東中野の銭湯。
 夕刻、西原でN夫妻と会食。アフリカ料理。オレにはわからん。アフリカ人の気持ちも、アフリカの文化も、オレには皆目理解できない。
 アフリカのフットボールなら多少わからないでもない。
 でも、あれは、オレたちには無理だ。
 ヌワンコ・カヌやオコチャのやっているボールゲームは、あれは厳密に言えば反則だ。
 ディフェンスラインを無き者のように扱うのは、概念上のオフサイドであり、届かないはずのボールをトラップするのは非紳士的行為だから。


5月31日 水曜日 晴れのち一時雨
 井上大輔自殺。
 自殺した人間の顔は、なかなかアタマから離れない。
 どうしてだろう。
 本人は、人々の記憶から消えたいはずなのに。


6月1日 木曜日
 恐竜絶滅に新説。
 隕石の衝突によって、ごく短時間に絶滅したんだとか。
 人類もきっと同じ結末をたどることになるだろう。
 ……と、そう思えば、ちっぽけな環境破壊なんてメじゃないよな。
 

6月2日 金曜日 晴れ、一時雨
 そして巣鴨。
 泣いてどうなるのか。
 

6月3日 土曜日 雨
 不可思議な天気が続く。
 どうもよくない
 何がって?
 あらゆるすべてのことに関する一切合切の一部始終が、あらいざらい、総がかりで、一から中まで、ことごとく、根こそぎにダメなんだ。
 しかも、おしなべて、くまなく、丸ごとごっそり、AトゥーZの隅々までまるっきり最悪なわけだよ。
 わかるか?
 しかも、それが、ぜんぶお前のせいなんだよ。
 おい、聞いてるか?
 聞こえていたら返事をしろよ。
   ん?
 いま、誰かオレを呼んだか?
 おい、誰なんだ?
 誰がオレをおとしいれようとしてるんだ?
 こんなに静かな雨の夜に
 お前は二つの穴を掘るのか?