7月18日 日曜日 晴れ
 ケネディ大統領の息子、ジョン・F・ケネディJr氏が自家用機で行方不明になっている。
 ジュニア氏は1年前に飛行機の免許を取ってばかりであるにもかかわらず、悪天候を無視して従姉妹の結婚式のために飛行機を飛ばして行ったんだそうだ。
 なーんだ。
 御曹司が自分の不注意で事故っただけの話じゃないか。
 しかも一民間人だよね、この人は。
 見出し抜き三行のベタ記事でオッケーだと思うけどね、あたしは。
 アメリカ合衆国のメディアは、昨日から一日中臨時ニュースを流すやら号外を打つやらして大騒ぎしているようだ。
 ふん。
 あの国の国民にとって、ケネディ家というのは皇室みたいなものなんだろう。
「ケネディ家の悲劇」
 だと?
 ばかばかしい。
 この種の自業自得の墜落死は、たとえばニュースにさえならない飢え死により悲劇的なのか?
 ケネディがおっぱじめた戦争にまきこまれて死んだ連中や、母体内で枯葉剤をまぶされて生まれてきた赤ん坊の生後2ヶ月での衰弱死は、悲劇的じゃないってのか?
 悲劇には華麗な背景が不可欠なのかもしれないが、そりゃ演出家の考え方であって、ジャーナリストのスタンスじゃないぞ。
 
 しかしまあ、合衆国の人たちが騒ぐのは許してあげることにしよう。
 またぞろ、アーリントンで派手な葬式をやるんだろう。
 星条旗で棺を包んで、軍隊がラッパを鳴らすんだろう。
 勝手にやってくれ。
 あんたたちの国では、人の命に値段がついていて、金持ちの死の方が高値で取り引きされるんだろうから。
 
 しかしだ。
 極東の島国の住人であるオレたちが、こんな愚にもつかないアメリカさんの身内話に付き合う必要があるのか?
 朝から何回このニュースを聴かされただろう。
 新聞各紙もそれぞれに特集を組んでいる。
 系図までのせてやがる。
 いわく、一族の不幸。
 長男の戦死。
 次男、三男の暗殺死。
 四男の 愛人同伴の交通事故による政治的な死。
 孫の麻薬中毒死。
 もう一人の孫のスキー事故死。
 でもって、このたびの直系の内孫の無謀な飛行機事故死が新たな一章を書き加えたってことになるらしい。
 確かに突然死の多い家系ではある。
 が、いずれにしたって半分は自業自得じゃないか。
 ケネディ家の栄光はそもそも先代のじいさんが禁酒法時代に酒の輸入でひとやま当てたところから始まるんだそうだが、だとしたらあんたのところは、悲劇に見まわれ続けている家系というよりは、他人に悲劇のタネを蒔きちらした家系なんだとオレは思うよ。
 まったく。
 銀座で昼火事てな調子で、新聞社の本社の近くで起こった事件は昔から屁みたいなボヤでもニュースになるものだが、それと同じことなんだろう。
 つい三日ほど前に、インドだかバングラデシュだか(オレも忘れた)で渡し舟がひっくりかえって50人ほど(ほど、っていう言い方がまた)が死んだらしいが、何の続報もありゃしない。
 ま、どうでもいいんだけどさ。


7月19日 月曜日
●全英オープン
 最終ホールを三打差リードで迎えたフランスの無名選手ヴェン・デ・ヴェルデが、18番でトリプルボギー。
 うわあ。
 というわけで、プレーオフの終了まで、バッチリテレビ観戦してしまった。
 それにしても、ヴァンデヴェルデ君は、ダボでも勝ちなのにどうしてドライバーなんか持ったんだろう。
 セカンドもフェアウェイに戻しておけば良かったのにどうしてグリーンを狙ったんだろう。

 やはりゴルフというのはメンタルがモノを言う競技であるようだ。
 コースマネジメントもそうだけど、そもそもスイングそのものがやっぱり不自然だ。
 私のビンゴおよびビリヤードのライバルであるゴルファー・Tプロは
「ゴルフは肉体にとって不自然な動きを要求されるスポーツだからこそメンタルの重要性が高くなる」
 といっている。
 つまり
 人間が両手でゴルフクラブのような棒状のものを握った場合
腕のパワーを生かすためには、つるはしを打ち込む時や剣道の面打ちをする時のような動作をする。
腰、肩の回転を生かすためには、野球のスイングをする。
 のが自然なのだ。
 しかしながらゴフルは、足元にあるボールをピンポイントで打たねばならないスポーツだ。
 ってことは、
地面に対してほぼ水平に回転している腰および肩の回転運動を、地面に対して垂直に近い軌道で動くクラブヘッドの回転運動に変換させなければならない。
 であるからして、
利き腕である右腕の制御動作を無効化し
手首の関節の可動範囲を一方向に限定せねばならない。
 しかも
肘関節の動きを最小限に抑え(ってことはつまり上腕二頭筋のパワーを無力化するわけ)せねばならない。
 わけだ。
 明らかに不自然だ。

 かように、不自然な動きであるからこそ、ゴルフにおいては、常に、精神(知性と感情制御)の力でもって、肉体の本然の運動本能をねじふせていないとスイングが成立しない。
 つまり、関節のひとつひとつ、筋肉の一筋一筋を、本能によってではなく、知性(あるいは根性?)によって運営せねばならないのである。

 まったく、なんという競技だろう。
 こんなものをスポーツと呼ぶことができるのだろうか。
 私自身は、アル中になってスイングが腐って以来(そう。精神が腐るとスイングも腐るんだね)ゴルフからは引退している。
 ほんの一時期だが、夢中になっていた時代もある。
 というのは、私はゴルフに向いていたからだ。
 20代の終わり頃、毎日ゴルフ練習場で打ちまくっていた時には、パー68のインチキ河川敷コース(都民ゴルフ@赤羽)でのまぐれ当たりではあるが、79という超絶スコア(もっとも、その時以外、100を切ったことすらないんだけど)を出したこともあるのだ。
 が、クラブも処分してしまったし、いまさら復帰する気分にはなれない。
 やってみれば面白いことはわかっているのだが、なんというのか、「ゴルフを面白がっている自分」が好きになれないのですね。
 っていうか、150を叩いた時点で、自分にもゴルフにも愛想が尽きたってことかな。
 両足ツったし。
「何打だ?」
「なんだとはなんだ?」
「だから、お前がこのショートホールを何打でフィニッシュしたかを聞いてるんだよ。スコアつけなきゃならないんだから」
「3と4が足せるか?」
「7だろ」
「ああ、それに2を2回足すといくつになる?」
「んーと、11か?」
「だったら11だよ。OB2回の3オン4パットだからな」
「なんなんだ?」
「だから11だよ」
「いや、おまえ、どっか悪いのかと思ってさ」
「気分なら最悪だけど」
 そう。
 あんな気分はもうたくさんだ。
 
 きっと、いまごろヴェンデヴェルデはひどい気分だと思う。
 おお、そろそろコパ・アメリカの決勝が始まる。


●コパアメリカ決勝 ブラジルVSウルグアイ
 リバウドはなんだか人間離れしている。
 ロナウド速い。
 アモローゾ上手い。
 ロベカル太ももすごい。
 各選手がみんな上手くて速いのもさることながら、全然運動量が落ちないのはどういうわけなんだろう。
 とんでもないスタミナだ。


 広末涼子のエッセイが発売されたようだ。
 タイトルは「HIATARI RYO〜KO〜」だと。
 ほほう。
「火あぶり涼子」
 で一本原稿が書けそうだ。
「罰当たり涼子」
 というテもあるな。
 でも、載せる雑誌があるんだろうか?
 どこの出版社も資生堂やらNTTドコモを刺激するようなマネはしたくないだろうし、事務所スジと相乗り企画やってる雑誌なんか持ってるとアイドルさんには何も言えやしないからな。
 ふん。
 根性無しの廊下とんびだな。
 金玉もないくせに、ペニスだけはついてやがるから始末に負えない。


7月20日 火曜日
 海の日。
 昨日は、全英オープン→コパアメリカ決勝→午前10時に国立小児病院→原稿という流れで、結局徹夜になってしまった。
 そんなわけで、一日中寝ていた。
 夕刻、目を覚ましてイギー氏のためにカボチャをスライス。
 夜、ニュースをチェックしようとasahi.comをのぞいてみると広末涼子のホームページができている。
 なるほど。
「秘密」および「鉄道員(ぽっぽや)」に朝日新聞社が関わっていることと無関係ではないのだろう。
 トップページの下方には、ご丁寧にSupported by Sakura Bankのクレジットがはいっている。
 なるほどね。
 メディアミックスってわけだ。
 ふん。
 イヤな言葉だ。
 字面を見る限りでは現代的で高度なマーケティング手法みたいにも見えるけど、要するに全マスコミ(新聞社、映画会社、広告代理店、テレビ局、出版社)が徒党を組んで広告宣伝活動を展開するってことだろ?
 ってことは、情報操作じゃないか。
 最近では、メディア系の企業のみならずレコード会社や各種スポンサー企業もメディアミックスのお仲間にはいって円陣を組んでいる。
 メディアミックス。
 誰が考えた言葉なのか知らないが、実態は世論誘導であり、大衆操作(マス・マミピュレーショ)だ。
 ナチスのプロパガンダとどこが違うんだ?

 やめておこう。
 こんなものに腹を立ててもしかたがない。


7月21日 水曜日 雨
 集中豪雨
 S誌の原稿を脱稿したものの期限の問題とかで来月送りになった。

 夕刻Windows95がクラッシュ。
 またしても、再インストール。
 おそらく、このマシンの主たる用途はインストールということになるのであろう。
「パソコンをお持ちなんですか?」
「はい」
「何に使ってるんですか?」
「うーん、主にインストールとかですね」
「はぁ? インストールって何ですか?」
「まあ、クルマでいえばエンジンのオーバーホールかなあ」
「……というと、走らないんですか?」
「いえ、走ることは走るんですが、走ることそのものより、走れる状態に整備しておくことが一番大切なわけです」
「意味がわかりませんが……」
「わかってたらこんなもん使ってませんよ」
 ちゃんちゃん。

ball20.gifナビスコカップ準々決勝 浦和VS鹿島
 テレビ埼玉で観戦。
 2-0で勝利。
 ボール支配率はおそらく40パーセントに達していなかったと思うが、カウンターによる数少ないチャンスをうまうまとモノにして勝ってしまった。
 夜、「ニュース23」を眺めていると、君が代と日の丸について延々とインタビューを流している。
 ああ。
 完全に腐っている。
 インタビュアーのねえちゃんはどこの誰なのだろう?
 彼女は、ロボットみたいなしゃべり方で矢継ぎ早にあらかじめ用意された質問を畳み掛けていく。
「君が代は好きですか」
「いま歌ってくれますか」
「日の丸は好きですか」
「なぜですか」
「法律で決める必要があると思いますか」
「なぜですか」
 インタビューに答えた人たちの多くは、おそらく事前に出演を承諾した人間なのだと思う。でなければ、あんな無礼な質問者に淡々と答えるはずがない。
 もし、事前に取材を承諾した人間の声だけを集めたのだとすれば、そのデータにはかなりの度合いでバイアスがかかっているということになる。
 バイアスをかける意図があったということなのか?
 ぜひ説明してほしいものだ。
 
 筑紫翁は、日の丸と君が代のイメージを落としたいと考えていたのかもしれない。
 でも、評判を落としたのは、番組だと思う。
 私は日の丸も君が代も特に好きではないが、あのインタビューを見ているうちに、日の丸を応援したい気持ちになった。だって、あんまり意図的な反日の丸キャンペーンみたいに見えたからね。

 人選は恣意的ではなかったのだろうか?
 私の目には、日の丸や君が代を「好きだ」と答える人たちが、いずれも考えの足りない人間に見えるように作られていた感じがする。
 ビーチで遊んでいる茶髪の兄ちゃんや、いかにもコギャルでーすといった感じのねえちゃんの声は、あれは世代を代表する声なんだろうか?
 大量に集めた街頭インタビューの中から、放送現場で言ういわゆる「トーンの良い」(つまり、いかにも特徴的なキャラクターを感じさせる人の声)人の声だけを選んだんじゃないのか?
 
「日の丸は好きですか?」
「はい」
「どうしてですか?」
「えっとぉー、一応、自分の生まれた国の旗だからぁー」
 BGMまで流れている。
 何だ?
 何が言いたいんだ?
 まったく。


7月22日 木曜日 晴れ一時雨
 慈恵医大病院。
 帰って昼寝。
 夕刻、イトーヨーカドーで買い物。

 江藤淳が自殺した。
 昨年の暮れに夫人を亡くしてから、ひどく憔悴していたのだそうだ。
 脳梗塞の後遺症に悩んでいたという説もある。
 なるほど。
 新聞では、妻に殉じたみたいな美談になっているが、そうだろうか?
 単に惰弱な男だったということだと私は思う。

 日本の男は弱い。
 いかにも男らしい男の男らしさを支えているのは、実は母であったり妻であったりする。
 つまり、男らしさは、単独では成立できないのだ。
 男らしさは、それを陰でカバーする女の女らしさと対になって、はじめて機能する、一種の性格的偏向に過ぎない。
 というよりも、それはストライカーの得点能力と同じく、ミッドフィルダーのパス供給能力に依存した、補完的な能力なのかもしれない。
 であるから、ある種の男たちの男らしさは、女を失った瞬間に、車軸を失った車輪みたいな具合いに、無意味なものになる。
 江藤君。
 君は、男らしい男だった。
 明治にあこがれ、古い日本を堅持しようとした君の男らしさは、結局、脆弱だった。
 わかるかね、江藤君。
 男らしい男は、女らしい女と同じく、人間として自立していないのだよ。
 江藤君。
 きみは、育ちの良いのが自慢だったようだが、結局、死ぬまでお坊ちゃまだった。
 そういうことだよ。


7月23日 金曜日 晴れ
 梅雨が明けたようだ。
 とても暑い。

 全日空機がハイジャックされた。
 機長が刺されて死んだ。
 犯人は精神病院に通院歴のある28歳の男性。一橋大学出身だという。
 テレビや大新聞(三大紙)は、犯人のプロフィールについて一切触れていない。「28歳の男」としか言っていない。
 ところが、スポーツ新聞やネット(ソースはどこなんだろう?)を見ると、通院歴のことや学歴がきちんと書いてあったりする。
 ヘンだぞ。
 おそらく、テレビや新聞は、人権に配慮してます式の対応をしているつもりなんだと思うが、この場合、これは逆効果だと思う。
 実際に犯人の通院歴がまったくどのメディアからも漏れてこないなら別だが、彼らがどう隠したところで、この手の情報は必ず漏れる。いや、誰が漏らさなくても、新潮社がきっと書く。
 そうでなくても、「飛行機を操縦してみたかった」が犯行の動機だったりすることが報じられれば、犯人が精神に問題を抱えている人間であることは、誰にでも想像がつく。
 とすれば、はじめから、通院歴について、率直に報道した方がよほど良いではないか。
 通院歴を報じた上で「精神分裂病患者が障害や殺人のような犯罪に関わる率は、むしろ一般人より低い」という事実(事実だよ)をきちんとフォローすれば良いのだ。
 虎の尾を踏みたくない一心のことなかれ主義で、通院歴を隠すから妙なことになる。
「やっぱりキ○○イはコワイ」
 と、視聴者が思ってしまうわけだ。
 馬鹿だなあ。


7月24日 土曜日 晴れ
 長い昼寝。
 夕刻、マンションの管理組合の総会に顔を出す。
 会議適性の欠如が、自分をフリーランスの立場に追いやったということを改めて思い知らされる。
 会議の間、私が願っていたのは、会議の終了だけだった。
 議決がどうなるかなんてことは、じきにどうでも良くなった。
 会議をは早く終わらせるためだったら、私はどんな議案にでも賛成するだろう。
 たとえそれが徴兵制の導入であっても。
「えーと、○○○ハイム赤羽防衛軍の基本方針についてですが、敵側の威嚇行動に対しては先制攻撃を以って報いるということでよろしいでしょうか?」
 賛成だね。
 とにかく、さっさと会議を終えて、サッカーを観ようじゃないか。
 私が政治家になったら、間違いなく独裁者になるだろう。
 なにしろ他人の意見を聞くのが大嫌いなんだから。
 でもまあ、ケーブルテレビ導入の議案が通ったのは朗報だ。
 反対者を追放してでも議決に持ち込むべき議案だったからな。
 うむ。
 あるいは政治家になったら、オレは、案外有能かもしれない。
 目的のためには手段を選ばないタイプではあるわけだから。

ball20.gifナビスコカップ準々決勝 浦和VS鹿島第二戦
 会議のおかげで見逃す。
 自転車で、Y田家(WowWowの契約をしている)に駆けつけた時には、すでに柳沢の決勝点がゴールネットを揺らしていた。
 結果は、延長にもつれこんだ末の0-3。
 第一戦との通算で、2-3の負け。

 まあ、仕方がなかろう。
 フットボールは、強い者が勝つゲームだ。
 必ずしも、心正しい者が勝つわけではない。

 寝よう。
 実は、状況を鑑みれば寝ている場合ではないのだが、寝ている場合でない時にこそ、寝るべきなのだ。
 でないと、江藤淳みたいなことになる。
 寝るべき時に寝ない人間は、生き延びるべき時に死ななければならなくなる。

 江藤さんも、死んでしまう前にもうひと寝入りしてみてから考えてみると良かったのだ。
 死んでしまえば確かに、もう目をさます必要はなくなるかもしれない。
 でも、目がさめたらまた寝ればいいんだからさ。
 そういうことなんだよ。
 江藤さん。