5月5日 日曜日 晴れ
 昼まで熟睡。
 起床後しばらくテレビを眺める。
 まったく興味が持てない。
 病気をしたらどうしよう。
 入院中の部屋のテレビが「王様のブランチ」とかをつけていたりしたら、
「あなたはこういうものが面白いのですか?」
 と、同室の一人一人に小一時間問い詰めるかもしれない。
 チャンネル選択権(および電源オフ権)を持たない状態でテレビの前に置かれるのは、ちょっとした拷問だと思う。
 リモコンが無かった時代、我々はどうやって腐ったセリフや不潔なタレントに耐えていたのだろう。不思議だ。


5月6日 月曜日 晴れ

 昨晩は、セリエAの優勝争いやらを追いかけているうちに朝の5時になっていた。
 そのくせ、肝心なインテルの試合は、スターウォーズにかまけて、見落としてしまった。まったく何をやっているんだか。
 結局、午前5時過ぎから寝て、起きたのは午後の3時過ぎ。
 起きてからは何もしなかった。
 ただ、ぼんやりとしていた。
 こういうヒマな時には、たとえば本でも読んだら良いのだろうが、どういうものなのか、差し迫った用事が無いと本を読む気になれない。
 ってことは、本を読むためには、本を読むヒマも無い状況が必要だということになる。
 ううむ。


「ブレンディーはどうして焦げ臭いのか」
 という質問を受ける。
「焦げてるから」
 と答える。
 いや、事実なのだよこれは。私はブレンディーを作っている会社にいたのだから。そして、工場研修で(たったの3日間だけど)ブレンディーを作っていたんだから。
 でも、まあ「焦げている」というのは少々言い過ぎだ。「焙煎が強い」と言いなおしてあげよう。実感として焦げ臭いのが事実ではあるにしても。
 
 コーヒー豆からコーヒーを作る方法は、インスタントの場合でもまったく同じだ。
 まず生のコーヒー豆を焙煎(炒るわけです)して、それをお湯で抽出する。それだけだ。
 ブレンディーのような廉価なインスタントコーヒーの場合は、抽出率(一定量の豆からどれだけのコーヒー成分を煮出すことができるのかということ)を上げるために
 ことになる。
 だからどうしても焦げ臭くなる。
 ちなみに、粉コーヒーは、抽出したコーヒー液を煮詰めた後、スプレードライ(霧状に噴霧したコーヒー液を温風で乾燥させる)という手法でパウダー状にする。問題は、この時(煮詰める時と温風乾燥する時)、高温の影響でコーヒーの香りが逃げてしまうところにある。で、この香り成分を再収集したりするのだが、それはまた別の話だ。
 とにかく、こうしたわけでブレンディーには独特の苦味とスモーキーなフレーバー(←「焦げ臭い」ということの業界風な表現法)が宿る。
「じゃあ、インチキなわけだ」
 違う。
 インスタントコーヒーは、加工食品の中では例外的にマジメな商品だ。
 なにしろ原料はコーヒー豆100パーセント、混ぜものは一切はいっていないんだから。
 奇跡的にマジメだと思う。
 美味いか不味いかについては言わない。
 しょせんは個人の好みの問題だから。
「でも、少なくとも本物のコーヒーの味とは違うわけだろ?」
 本物のコーヒー?
 そんなものが存在するとあんたはマジで思ってるのか?
 で、その本物がキミのお好みだと?
 けっ! と、言わせてもらいたいな。
 できれば唾も飛ばしたいところだ。
 だって、諸君が自分で自分の好みだと信じこんでいるものの正体は、どうせ序列化されたブルジョア趣味に過ぎないんだから。
 
 お前はどうなのかって?
 何度も書いたことだが、私はものの味がよくわからない。少なくとも嗜好品の味については錯覚に過ぎないとさえ考えている。
「わからないんなら批評するなよ」
 キミはまだわかっていないようだ。
 私は批評などしていない。私は味を批評する君たちの態度を批判している。つまり「わかりようのないことを批評するのはやめようぜ」と言っているのだ。わからないものについてはわからないと言うべきだ。
 いいかい? 私は味の識別ができないのではない。識別能については、むしろ自信を持っている。識別は、感覚体験を体系化して整理する訓練さえ積めば誰にでもできることだ。
 私が「わからない」と言っているのは、味のようなものに優劣を付けて得意になっているキミのような連中の了見だ。
 たとえばの話、君には赤と青を比べてどっちが優れた色だか判断がつくかね? 
 ドの音とレの音ではどっちが上品だ?
 雲と空のうち、どちらがより芳醇だと思う?
 わからないだろ?
 つまり、感覚が感受するものについて、好き嫌い以上の評価をするのは傲慢だということだよ。特に味は、味わう側の人間の体調や気分でどうにでも変わってしまう至極曖昧な感覚だ。こういうものについて劣っているとか優れているとかいった調子の序列をつけたがるのは、悪趣味だ。
 腕の良い料理人、高級な食材、絶妙なレシピ、適性な塩分濃度……そういうものは確かにある。
 が、味そのものに優劣はない。個々人の好悪と値段の高低があるだけの話だ。
 優れた味を知っている人間が優れた人間だということも無い。味覚についての識別能力が高いことはそれはそれで評価できることだが、識別能力に過ぎないものを「文化」だと思っているのだとしたら、その人間は度し難い俗物だ。というよりも、不味い物を我慢できない人間は、単に思いあがっているのだ。
 
 酒をやめてからしばらくの間、飲むものに困って紅茶に凝ったことがある。
 近所のお茶の専門店に半年ほど通い詰めて(この店の店主はその世界ではちょっとした有名人で、最近ではTVにも出ている)、そこにある二十種類ほどの紅茶を一通り飲んだ。中国茶も主だったものは飲んでみた。
 面白かった。
 でも、どれが最高だったのかと言われると、ちょっと困る。
 たとえば、キーマンという紅茶には、独特の煙くさいような風味があって私は好きだ。
 が、ほかにも色々と特徴のあるお茶があるし、ヌアラエリヤなんかもヘンな癖があって、あれはあれで面白いからだ。
 結局、私がお茶に凝ったのは、識別するのが面白かったからで、美味いお茶を探していたわけではないのだ。識別能力はアップしたが、趣味が良くなったわけではない。食通になったわけでもない。 
 コーヒーも一通り研究した。
 具体的に言うと、毎回200gずつ三十種類ほどの豆を買って、丸一年ほどかけて、仔細に検討しながら飲み比べてみたのだ。
 これも面白かった。
 コーヒーは、豆によって、焙煎によって、また淹れ方によってもかなり味が違ってくるということがわかった。
 さてしかし、では、そうやって飲んだ数百種類のコーヒーのうちでどのコーヒーが美味しかったのかと問われても、私としては特定の銘柄を名指しする気持にはなれない。
 気分や体調しだいで好みのコーヒーは変わるものだからだ。それに、私は現在、インスタントコーヒーを飲んでいる。美味いから? どうなんだろう。たぶん、手軽だからだと思う。
 自慢ついでに言えば、私は日本茶にもちょっとうるさい。
 母方の実家が静岡県なので、新茶の時期には製茶農家をやっている親戚から一番茶が送られてきたりもする。だから、最高級の日本茶がどういうものなのかということは大体わかっている。
 もちろん300円のお茶と1500円のお茶は、飲んでみるまでもなく一目で見分けがつく。
 香り、水色、葉の状態。まるで違うからだ。
 しかしながら、「区別がつく」ということと「味の評価ができる」ということはまた別の問題だ。
 人々は1500円のお茶を高級だということにしている。
 それはそれでかまわない。
 が、1500円のお茶を好む人間の好みが高級なわけではない。
 彼はおそらく
「1500円のお茶をよしとする感性が上品ということだ」
 というふうに無批判に価格序列を受け入れているだけのつまらない男だ。
 いずれにしろ、お茶を飲むという習慣自体、ブルジョア趣味なわけだし。

 ムキになっていてバカみたいだが、もう少しだけ続けよう。

 数の子が高価なのは、それが稀少だからだ。稀少なものに高い価格がつくのは、経済の必然なのであるからして、そのこと自体は何ら不思議なことではないし、私もそのこと自体に文句をつけようとは思っていない。
 しかしながら、高価だから美味いということを簡単に信じてしまうどん百の皆さんに対しては、
「ばか」
 といっておきたい。
 キャビアにしてもそうだが、ああいうものは、はじめて食べた人間にとっては奇妙な感じがするだけだ。
 で、田吾作の中には
「なるほど、こういう味を美味と感じる感受性のありかたが食通ということなのだな」
 みたいな態度を学習する阿呆がいる。
 ばか。
 しょせん嗜好品じゃないか。
 いがらっぽいお茶だって飲めないことはない。場合によっては、300円の玄米茶が一番フィットする場面だってある。
 それどころか、最も美味い飲み物は、のどが乾いた時の水だったりする。

 寝よう。
 どうしてオレは食い物や飲み物になるとムキになるんだろう。
 ちょっとでも気取った言いぐさを聞くと、ついつい反論の大演説をぶってしまう。
 困った傾向だ。
 そもそも私がアルコール依存に陥った裏には、
「酒を飲む人間が味わいだの風味だのとくだらないことを言うなよ」
「要するにアルコールを摂取するってことだろ? 違うのか?」
「問題はアルコール度数と量。それに純粋アルコール単価だよ」
「ほほう、のど越しの良いワインですか? さぞや尿道越しの良い尿になるんでしょうね? ねえ、お嬢さん」
 といった調子の行き過ぎた実質主義があずかっていたはずだ。
 困った傾向だ。
 ペニス越しの良いしょんべん。
 撤回したい形容だ。
 忘れてくれ、お嬢さん。私はくだらない酔っ払いだった。
 ともかく、食卓での気取りについて、私は、もう少し寛大になるべきだろう。
 気取らない食卓は、エサ場に過ぎないのかもしれないわけだし。
 寝よう。



5月7日 火曜日 雨
 朝から雨。
 絶え間無く降っている。
 朝から雨。
 オレのせいにしないでくれ。
 一日中雨。
 外出せず。
 

5月8日 水曜日 くもり
明け方、対レアルマドリッド戦をテレビ観戦。

角澤君、「世界のレアルマドリード」という言い方は恥ずかしいぞ。
サンチャゴ・ベルナベウは雨。かなり寒いらしい。でもピッチの状態は悪くないらしい。

2トップはヤナギと鈴木隆。トップ下にモリシ。キーパーはソガ。
4:35 キックオフ。
02:ヤナギ右サイドからシュート。オフサイドでした。
04:稲本パスカット→サントス。サントスのスルーパスはつながらず。
05:コンゴシュート。ソガの正面
06:明神、ウラ取られる。ロベカルからクロス。ナカタコがクリア。フィーゴCK。ソガパンチング。
09:ムニティスからクロス。シュート。DFに当たってCK。
10:ムニティスからクロス。ナカタコかろうじてクリア。
※攻められっぱなし。
11:FKからロベカル、キーパーと1対1。ソガ飛びこんで抑える。
12:イナ抜け出して突破、PA前で倒されてFK。上に外れる。
※ 稲本なかなかよろしいよ。
※ ちょっと落ちついて来ました。プレスはあんまりキツくない。パスが回せてます。
※明神ちょっとミス多い。ムニティスとロベカルにやられ気味だし。

ここでメモを取るのをやめました。
無意味な試合だった。
テレ朝にはご愁傷様と言っておく。
自業自得とは言わないでおく。
3億円の田植えサッカー。


5月9日 木曜日 くもり
ball20.gifフェイエノールトVSボルシア・ドルトムント
MBC(韓国の放送局)にてWEB観戦。
素晴らしい画質。コリアンITおそるべし。


午後3時に起床。

浦和好調。どういうわけだ?



3時より取材で秋葉原。
秋葉原デパート。
 
5月10日 金曜日 雨 
 雨。
 瀋陽の領事館に北朝鮮の亡命者。不思議な事件だ。
 
 

5月11日 土曜日 
 何をしていたのか、思い出せない。
 たぶん一日中寝ていたんだと思う。
 寝て痛んだ?
 いや、IMEのたわごとだ。
 追求するのはやめよう。