2月17日 日曜日 曇りのち雨
 育児放棄?
 と書かれたメモが残されているのみ。
 どういう意図で書いた言葉なのか思い出せない。
 妻に対する呪詛ではない、と解釈しておこう。
 仮に私が呪詛していたのだとしても、既に忘れているわけだからしてまったく問題は無い。

教訓:寛容とは、99パーセントの忘れっぽさと1パーセントの努力である。


2月18日 月曜日 晴れ
 夕刻、打ち合わせで神保町。
 不思議なカレーを食う。
 ネバついたチーズの食感と糸を引くルーが不快。気持ちが悪い。
 でもおいしい。
 不快なのか美味なのか、判断がつかない。
「不快ながらも美味」ということか? だとしたら変態食欲だぞ。
 おそらく、クセになるのは、このジャンルの食品なのだと思う。
 二度と食べないことにしよう。
 どんなに旨くても、クセになるようなものは避ける。
 大人の知恵。
 
 赤羽岩淵駅から帰宅途中、ジョナサンの前を通りかかると、路上に黒っぽいシミ。おそらく事件の被害者の血であろう。かなり大量の出血があったと思われる。
 痛ましいことだ。


2月19日 火曜日 晴れ
 巣鴨に出動。
 ipodを入手して以来、このテの時間待ちイベントが苦にならなくなった。
 サッカーに興じている子供たちを眺めながら音楽を聴く気分はなかなか悪くない。
 ところで、ipodは購入したのではない。私は「入手」と書いている。どういう経路で入手したのかについてはここでは述べない。
 サッカーの世界には「永久保持」という素敵な言葉がある。
 説明する。
 ワールドカップの優勝記念杯(ジュール・リメ杯)は、本来回り持ちで、大会ごとに返還される約束になっていた。ところが、1970年のメキシコ大会において、ブラジルが3回目の優勝を果たした時、その栄誉をたたえて、ジュールリメ杯は、ブラジルがそれを永久に保持することとなった。この時にできた言葉が「永久保持」である。
 ちなみに、ジュールリメ杯がブラジルに渡った後、ワールドカップは、単に「FIFAワールドカップ」という名前の優勝カップに変更され、優勝チームには、毎回そのレプリカ(18金製)が与えられる決まりになっている。
 1970年当時、中学生だった私の周辺では、「永久保持」という言葉がちょっと流行った。どういうふうに流行ったのかというと、「借りたものを返さない」ことを「永久保持」というふうに表現したのである。
「ああ、アビーロードだったらタカオのやつが永久保持してやがって、いまオレんとこには無いよ」
 強奪とも詐取ともちょっとニュアンスの違う、素敵な言葉だ。
 私のところにもいくつか永久保持アイテムがある。時々、見つけると、心が痛む。
 貸している人たち。オダジマは忘れているのではありません。返す気がないわけでもありません。いずれ機会があったら返します。必ず。


2月20日 水曜日 晴れ
 本日休診。


2月21日 木曜日 晴れ
 朝から原稿。
 ソルトレイクは無視。
 夜はネットで小野君の試合(UEFA杯:グラスゴーレンジャースVSフェイエノールト)をウォッチング。

……溶暗、BGMとともにフェイドアウト。


2月22日 金曜日 晴れ
 午後、巣鴨に出動。
 帰途、池袋ビックカメラに寄る。昨年の秋に新調した光学マウスのホイールが暴走(触ってないのに勝手にスクロールする)しているため。
 やはり安物はダメということなのであろう。でなくてもマウスとかキーボードは作業効率を左右する重要アイテムだ。カネを惜しんではいけない。
 というわけで、この分野では高級品と目されるロジクールのコードレス&オプティカルマウスの最新型に狙いをつける。ところが、財布を開けてみると1000円ほど持ち合わせが足りない。
 恥をしのんでポイントカードの蓄積ポイントを確認すべくレジのねえちゃんに声をかける。
「あのー……」
 と、言った私の言葉がまだ第二音節に到達する前にねえちゃんはきっぱりと言った。
「少々お待ちください」
 うん、そうだよね。まだ前の客のレジ打ち処理が終わってないんだよね。オレはせっかち過ぎたんだよな。うんうんそうだよ。わかるよ、ねえちゃん。でも、もう少しなんというのか、ケンの無い発声を心がけても良いんではないかと思うぞ。
 10秒後、あらためて、
「あのー、ポイントカードにいくら入ってるか見てもらえますか?」
 と言うと、ねえちゃんは、曖昧な返事の後
「147円です」
 と、世にも冷たい横顔で言う。147円。いったい何を買った時のポイントだ?
 それにしてもこういう時、一人前の男が発するにふさわしい適切な返事というのが存在するのだとしたら、それはどんな単語で構成されているのだろう。
 男としての堂々とした態度を内外にアピールするためには、この場合どのような発言をすべきなのだろう。
 非常にむずかしい。で、とりあえず
「ふーむ」
 と、意外の感に打たれながらも決して動揺はしていない落ち着いた男の声でそう言ってみたわけなのだが、もちろん誰が聞いていたわけでもない。
 結局、ロジクールのオプティカルマウスを4000円ほどで購入。
 今後半年ぐらい、オレはこのマウスを憎むだろう。
「ちぇっ、コードレスにしときゃよかったな」
 と、マウスのケーブルが何かに引っかかる度にそう思って、そしてまた、そのことを原稿を伸ばす言い訳に使うだろう。
 何でもわかっているのだよ。オレは。


2月23日 土曜日 晴れ
 原稿とイラスト。
 新マウスのおかげで仕事がはかどる。
 たぶん、この効果は向こう1週間ぐらいは続くだろう。
 新マウスで1週間。
 安い男だ。
 新マシンなら、おそらく1月ぐらいは仕事が楽しくなる。

ball20.gifゼロックスカップ 鹿島VS清水
 凡戦。
 両チームともにアジアでの連戦のためか疲れすぎている。特に鹿島は試合ができる状態ではないと思う。
 本山の奇妙なシュート(清水のGK黒河が、ゴールキックと勘違いして置いたボールをかっさらってゴール。主審は笛を吹いていなかった)で決まるかと思われたが、終了間際にアレックスのFKに飛びこんだ横山がアタマで決めて同点。PK戦は5-4で清水の勝ち。なんとも不可思議なゲームだった。
※気づいた点
主審の上川さんはカード出し過ぎ。最初の判定で厳しい判断をしてしまうと、その判定の顔を立てて(つまり、試合を通じた判定基準を整合させるために)その試合はカード乱発ということになってしまうのかもしれない。きっとマジメなんだろう。囲碁の格言で言えば「悪手は悪手を呼ぶ」というやつだ。